2012 Fiscal Year Research-status Report
異方性メタマテリアルによる高強度テラヘルツ光源の開発
Project/Area Number |
24560046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鶴町 徳昭 香川大学, 工学部, 准教授 (50372719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 房男 香川大学, 工学部, 教授 (90580598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テラヘルツ |
Research Abstract |
符号の異なる誘電率を持つ媒質による多層膜構造は,双曲線型分散関係を示し光の状態密度が大きく増強することが期待される.本研究ではそれをTHz波発生に応用することを目的としている.その前段階として金属と誘電体ガラスによる多層膜をスパッタ法により作製し,その表面に色素分子を吸着させ,自然放出寿命の測定を行った.その結果,単なる色素薄膜の場合と比較して発光寿命の大幅な減少が観測できた.これにより従来の共振器構造によるパーセル効果とは異なる広帯域のパーセル効果の確認ができた. THz領域に関しては半導体を含む多層膜構造を作製した.このような構造はいわゆる1次元共振器型フォトニック結晶であり,THz波の透過を阻むフォトニックバンドギャップととその中に光局在に起因する狭帯域の透過ピークが現れる.すなわちTHz波のバンドパスフィルターとしてふるまう.今回,光励起によりこの透過ピークの透過率を変調することができるデバイスのデモンストレーションを行った.共振層である半導体を光励起すると伝導帯中に自由キャリアが生じる.これはTHz波を吸収するため自由キャリアが存在する間は透過ピークの透過率はほぼ100%から0%まで減少する.今回,欠陥を含む半導体における超高速の自由キャリア緩和を利用することでこの変調速度がピコ秒オーダーにまで高速化することに成功した. 一方,THz波発生媒質として,有機色素分子によるポールドポリマーを検討している.これはTHz波発生効率が大きいこと,加工がしやすいことなどが理由である.今回,プッシュプル型色素である通称LEMKEを化学合成し,そのポーリングを行った.そしてそれを第二高調波メーカーフリンジ法により評価した.その結果,第2高調波の発生が確認でき,ポーリングに成功した.さらに熱的安定性を高めるためこのLEMKE色素を高分子の側鎖に組み込むこととを検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回,THz帯の符号の異なる誘電率を有する異なる媒質の多層膜構造により双曲線型の光分散関係を実現し,内部の光状態密度を増強することを目的としているが,THz帯の場合,各層の膜厚は数ミクロンから数十ミクロン程度になると考えている.このような膜厚の基板のハンドリングは極めて難しく,所望のデバイスの作製にはより深い考察が必要であることが分かった.また,負の誘電率媒質として金属の微細構造を用いることを検討しているが,金属の持つ誘電率の虚部,すなわち損失の項をもっと減少させる必要もある.現在,最適な構造の設計・製作に加えて金属を用いないサンプルの検討,例えば透明な材料を用いた導波モードの利用の検討も開始した.さらに通常メタマテリアルとして用いられる分割リング共振器構造にも着目し,その共振現象を利用したTHz波の発生などの検討も開始している. ポールドポリマーに関しては,第二高調波発生の確認はできており,THz波発生にも成功しているが,より定量的な測定のためには励起光源としてこれまで用いていたcwモードロック・チタンサファイアレーザーよりはむしろ繰り返し周波数がkHz程度の再生増幅器システムの方が好ましい.しかしながら,現在レーザーシステムが不調であり,修理を余儀なくされているため,若干進捗が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目が終わり,要素技術や基礎的な物理の理解は進んだが,本命のサンプル構造の作製をより進めるため,いろいろなアプローチでのサンプル設計・作製に着手する.具体的にはTHz体で所望の光学特性を示す金属微細構造の吟味・設計・作製そしてTHz時間領域分光計による評価である.さらに金属を用いずに導波モードのエバネセント波増幅機構の利用を検討し,これまで研究してきた1次元フォトニック結晶構造の再検討をも行う.同時に可視域での金属・誘電体多層膜構造における広帯域パーセル効果の増強の事例を詳細に検討し,この構造をTHz波発生に生かせるかどうかの検討を始める.THz帯,可視帯双方のメタマテリアル構造の相乗効果でTHz波発生の増強はもちろんのこと,それ以外の新規な物理現象の発見やデモンストレーションにつなげていきたい. ポールドポリマーに関しては色素を高分子と結合させた熱的安定性の優れたブランチ型ポールドポリマーの合成をおこない,その光学特性の検討を行う.さらに分子の配向方向の制御などの工夫を加味し,高強度のTHz波発生素子の開発につなげていきたい. メタマテリアル分野からのアプローチと有機半導体・非線形光学材料分野からのアプローチを並行して行い,それらを組み合わせていくことでさらなる研究の進展を狙いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
若干の残金があるがこれは次年度の研究費と合わせて物品費や旅費に充当する.
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Research Products
(10 results)