2013 Fiscal Year Research-status Report
集積化液晶マイクロレンズの創製と光制御応用に関する研究
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24560058
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Research Institution | 秋田県産業技術センター |
Principal Investigator |
梁瀬 智 秋田県産業技術センター, その他部局等, 上席研究員 (50370242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葉 茂 秋田県産業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (20533368)
内田 勝 秋田県産業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (90370238)
王 濱 秋田県産業技術センター, その他部局等, 非常勤研究員 (60533370)
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Keywords | 液晶 / マイクロレンズ / シリンダレンズ / 集積化 |
Research Abstract |
・直径150ミクロンの円形パターンを約10mm角の範囲に六方格子状に配置した液晶マイクロレンズアレイ(高抵抗膜付き)を作製し、光拡散の効果について評価を行った。レンズパワーは最大で2000 m-1が得られ、駆動電圧の制御により連続的にレンズパワーを制御できることを確認した。次に照明光を想定してハロゲンランプを光源に用いて光拡散の評価を行った。φ1mmのピンホールを通して液晶マイクロレンズアレイに光を入射し、透過光の広がりを観察することで拡散角を評価した。その結果、レンズパワーが最大のときに約6.8°が得られ、駆動電圧によって拡散角も変化することが確認できた。レンズパワーから推定される最大の拡散角は8.5°であり、ほぼ一致した値であった。 ・高抵抗膜を持つ液晶シリンダーレンズについて、3D表示用レンズとしての機能を評価した。画素パネルと組み合わせた状態で視野角特性を調べたところ、画素ピッチに応じた櫛歯状の視野角分布が得られた。液晶シリンダーレンズにより3D/2D表示の切り替えが可能であることが確認できた。また駆動条件を変えることで角度依存性の強度分布が変化することがわかり、視認性の最適化の可能性があることがわかった。また2眼式での左右のクロストークの簡易評価の結果は約8%であった。 ・現在のスパッタ法によるZnOの成膜では、φ5mm程度よりも広い面積で均一な高抵抗膜を得ることは難しかった。より広い面積のマイクロレンズアレイへの適用のため、有機膜のスピンコート成膜について検討を行ったところ、50mm角基板に1~10GΩ/□が得られた。大面積での利用が可能かデバイス化して確認を行っていく予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の一つである「配光制御機能を持つ集積化された液晶レンズユニット」の基本デバイスである液晶マイクロレンズおよび液晶シリンダーレンズによるデバイス動作を確認できたことにある。 液晶マイクロレンズにおいては、電極径とピッチの検証において最適なパラメータを得るに至っていないが、液晶分子の再配列には液晶層厚みも重要なパラメータになる結果が得られている。またデバイス応用の一形態である光拡散に関する基本性能の評価も実施できたことで、今後の目標仕様の設定に役立つものと考える。 液晶シリンダーレンズでは、スリット電極の方向とラビング方向の関係を調べた。スリット電極間に液晶分子の長軸が向くようにラビング処理した場合、電圧印加による液晶分子の再配向において不連続部が生じて配向乱れが起きることがわかった。ラビング処理はスリット電極と同じ方向にすることで安定した動作ができる。また3D表示での応用形態での角度依存性の評価を行った。画素パネルとの接合や位置合わせなどの課題はあるが、基本動作として3D表示が可能な角度依存性を得ることができたことから、2D/3Dの切り替え動作が確認できたと言える。これらの結果から液晶マイクロレンズデバイスの集積化の準備検証に進める状況になったと考える。 高抵抗膜の抵抗値制御については、パターン電極サイズと液晶層厚の関係も含めてより高い値の実現が求められる状である一方、集積化における大面積化への対応について新たな成膜手法に着手し、デバイス化による検証に進める状況である。 これらの状況を総合的に見て、概ね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
液晶マイクロレンズアレイに関しては、液晶層厚を含めてパターンサイズの小型化による発生レンズパワーの限界値について引き続き検証を行う予定である。またLED光源と組み合わせた照射パターンについても評価を行い、照明光の制御への液晶マイクロレンズアレイの応用の可能性を検証する予定である。 分割電極型である液晶シリンダーレンズアレイにおける光偏向効果の基本特性を評価し、照明光の配光制御に活用できるか可能性を検証する。 これらのレンズアレイを大面積で動作させるために高抵抗膜も大面積に均一成膜する必要がある。スパッタ法に以外でも産業応用が容易な成膜法の検証とそのデバイス利用の可否を評価していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入物品が当初見込みよりも安価に購入できたこと、年度末の学会発表における旅費を所属機関の研究費からの支給を用いたことにより、次年度使用の研究費が生じた。 購入物品としては、集積化液晶マイクロレンズの試作に用いるガラス基板やフォトリソ用の薬剤の他、評価用の光学部品、電気部品等に充てる予定である。また研究の成果を広く発信するために学会等で発表する。
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Research Products
(3 results)