2013 Fiscal Year Research-status Report
プラズモニックMIMバンドエンハンサーを有するツイン導波路型光ナノプローブの検討
Project/Area Number |
24560060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
押鐘 寧 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40263206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 元博 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40164256)
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Keywords | 金属/誘電体/金属構造 / 真空蒸着 / 表面プラズモンポラリトン / 光ファイバ / 光の近接場 / 集束イオンビーム加工 / 有限要素法 / ナノ構造 |
Research Abstract |
プローブ試作については,中古の成膜モニタの更新を行い,研究初年度に購入し使用してきている成膜システムへの設置を行った.そしてパソコン通信による同モニタの制御を可能とした.その結果,同システムへ試料をセットすると,各層が任意の厚みを有する多層膜構造を自動で成膜できるようになり,ガラス基板や光ファイバ先端への非対称金属/誘電体/金属MIM構造の再現性のよい自動作製が可能となった.また,試作に取り掛かっているとはいえ,本研究が目指すMIMプローブ周りの電磁場の振る舞いは未知であるため,その電磁場伝搬に関する物理現象の解明にむけて,有限要素法ベースの2,3次元電磁場シミュレーションのモデル構築に努めた.このシミュレーションでは大別して2種類の解析を行った.1つはファイバ先端に構築する非対称MIM構造における導波モード解析であり,2つめは,ファイバ先端を取り囲む空気層,MIM構造を構築する基板となる光ファイバ先端の円錐台形状のガラス層も含めて,より現実に即したIMIMI構造の3次元電磁場解析を開始した.導波モード解析では,IMIMI構造の導波特性を示す分散関係図を描き,その特徴について理解を進めることができた.そして,表面プラズモンポラリトン(SPP)の励起機構の基礎を理解することができ,プローブとして利用すべきMIM構造内の伝搬モードを選択する指針を得ることができた.3次元解析では,実験と同様のシングルモード光ファイバ内を伝搬してくる導波モードを求めて,円錐台形状のモデル底面から同モードにて光を入射させるモデル構築に成功し,3次元解析の導入部分の作業を完了した.しかし計算量が非常に多く,ワークステーションに於いてページングファイル処理にて計算を実施しているが,膨大な計算時間を要し,HDDドライブの急速劣化が危ぶまれるため,さらなる解析に向けてH26年度は物理RAMの増設を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの2年間で,金属薄膜や金属/誘電体/金属へ集束イオンビーム加工を行い,可視光波長よりも小さなサイズの単開孔や2開孔構造を作製し,白色照明による背面照射を行った顕微観察では,構造に依存した発光色の違い,明るさの違いが確認できており,本研究課題の目的である,SPPを介した透過光の波長や変更の制御に可能性を見いだせている.また,電磁シミュレーションでも,定性的には波長依存性を有するナノ構造の透過特性が観測できており,実験とシミュレーションの両面において概ね,研究目的において期待した物理現象を観察することができている.このため,現在までの達成度としては,概ね順調に進展していると自己点検,評価するものである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度を迎え,実験においては円錐台形状に先鋭化された光ファイバ先端へ,非対称MIM多層構造を生成し,集束イオンビーム加工により2開孔構造を構築して,発光スペクトル,輝度,偏光について顕微微弱光観察,顕微分光観察により特性を詳細に調べる.これは,単開孔プローブと比較しながら進めて行き,2開孔構造やMIM構造の特徴を明らかにして行く.電磁場シミュレーションでは,「ファイバ先端+MIM構造+2開孔」のプローブ先端を模擬したモデルを設計,構築し,実験に対応した条件で,光の伝搬特性を調べ,プローブとしての試料表面のナノ構造の走査観察特性の評価を行なってゆく.このために,解析に用いている計算資源(計算機のRAM)の増設を行う.年度末に,研究成果をまとめる.
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