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2013 Fiscal Year Research-status Report

ディスクEMSシステムによる低粘性スペクトロスコピー法の開発

Research Project

Project/Area Number 24560064
Research InstitutionTokyo Denki University

Principal Investigator

細田 真妃子  東京電機大学, 理工学部, 講師 (40366406)

Keywords粘性 / 低粘度 / 液体物性 / スペクトロスコピ―
Research Abstract

本研究は、最近申請者らが開発したディスクEMS(Electro-Magnetically Spinning)粘性測定装置について、特に希薄水溶液程度の低粘性測定における高性能化を実現し、汎用のレオロジー計測手法として確立することを目的とする。これにより従来はレオロジー計測の対象範囲外であった10mPa•s以下の粘性領域における流体の力学物性計測の標準を提供する。さらにこれを用いて、たんぱく質や脂質・高分子などの溶液中での一分子状態を調べる新たな研究手法である「低粘性スペクトロスコピー法」の展開を図る。
本年度は、回転子を試料表面に浮上させることにより機械摩擦を大幅に低減できるディスク型EMSシステムを用いて、液体表面に吸着する分子層が表面粘性の検出を試みた。ある種の両親媒性分子は水の表面に吸着して単分子層を形成する。この層はラングミュア膜とも呼ばれ、ナノスケールの分子デバイスを形成する上で重要なLB膜の前駆体としても知られる。この分子膜は2次元内の変形に対して力学的な抵抗、すなわち表面粘性を示す。この表面粘性は分子の集合状態や相転移などに関しての重要な情報を与えるが、分子一層の力学量であるためその検出は非常に困難であった。本研究で開発するシステムは極微小トルクの印加と低速回転の光学検出という精密粘性測定の特徴を有するため、これを単」分子膜の力学物性検出に用いることを発案した。実験では安定した単分子膜を形成することのできるピストンオイル分子であるミリスチン酸エチルを用い、膜の展開前後にける回転子の回転速度の差から膜の表面粘弾性を計測することに成功した。これに加え、回転子であるプローブ球が滑らかな基板上を転がる速度から、界面の分子吸着状態を精密に計測する新しい微小力学物性の計測にも着手した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究の当初において立案された実施計画に沿ってほぼ順調に研究が遂行されている。粘性計測の精度向上という課題に関しては、本年度の研究によりわずか分子一層からなる表面構造が示す2次元粘弾性の検出が可能であることを示した。単分子膜の粘性は凝縮系において考えうる最小の運動量輸送係数であり、これを簡便な装置で検出できるようになったことは学術的にも、また産業応用上の観点からも有意義であると考えられる。さらに本技術の応用として、固液界面の分子吸着状態のモニタリングへの展開の可能性が見出された。以上のとおり研究は順調に推移しており、その成果も具体的に現れつつある。今後は液晶相転移点近傍の粘性変化の精密測定など、多様な測定に応用が期待できる。以上の通り本研究は実施計画に基づいて順調に進行している。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画通りの粘性測定精度が実現できることが明らかとなったので、今後は実施計画に基づいて粘性測定のさらなる利便性を図るための自動計測化を行い、併せて各種複雑流体系における粘性スペクトロスコピーからの物性研究を開始する予定である。
最初に取り扱う系としては、表面吸着量の違いにより表面粘性が大きく変化すると予想されるラングミュア膜への応用を図る。ラングミュア膜はその吸着量に応じて2次元の気体・液体・固体の相転移を示すことが知られている。粘性という力学物性計測によりこの相転移がモニタリングできれば、2次元の分子集合体における運動量輸送現象という新たな現象を直感的に把握できる有力な手法とる。
これらは装置の感度・検出能力をアピールする格好の研究対象であり、デモンストレーションを兼ねて各種界面活性剤の表面粘性の濃度依存性を詳細に測定し、これを光散乱などによるデータと比較する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初は単価の高い生体物質を測定サンプルとして想定していたが、比較的安価な試薬で測定を行ったため予算が余った。
粘性測定の自動化を図るために、回転子の運動状態を観察して記録するビデオカメラ、あるいは動画ファイルから回転数をリアルタイムでモニタリングするための画像ソフトなどを購入する。その他、界面活性剤試料および溶液の環境を制御するための各種試料試薬、試料温度をモニタリングするための電子部品などに充てる予定である。またこれまでの成果を学会において発表するための旅費にも予算を講じている。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Low viscosity measurement by electro-magnetically revolving method2013

    • Author(s)
      細田真妃子
    • Organizer
      超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム
    • Place of Presentation
      同志社大学室町キャンパス寒梅館(京都府)
    • Year and Date
      20131120-20131122
  • [Presentation] EMR(電磁式球公転)システムによる固液界面モニタリング2013

    • Author(s)
      細田真妃子
    • Organizer
      日本レオロジー学会
    • Place of Presentation
      山形大学工学部(山形県)
    • Year and Date
      20130925-20130927
  • [Presentation] 新型粘度計EMRシステムを用いた低粘性測定への新たなアプローチ2013

    • Author(s)
      細田真妃子
    • Organizer
      音波と物性討論会
    • Place of Presentation
      九州大学(福岡県)
    • Year and Date
      20130729-20130730
  • [Presentation] 新型粘度計EMRシステムを用いた超低粘性液体の高精度測定2013

    • Author(s)
      細田真妃子
    • Organizer
      日本レオロジー学会
    • Place of Presentation
      京都テルサ(京都府)
    • Year and Date
      20130514-20130515

URL: 

Published: 2015-05-28  

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