2015 Fiscal Year Annual Research Report
ディスクEMSシステムによる低粘性スペクトロスコピー法の開発
Project/Area Number |
24560064
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
細田 真妃子 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (40366406)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粘性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らが開発したディスク型EMS(電磁回転式)粘性測定装置をさらに高性能化し、特に希薄水溶液程度の低粘性の精密測定を実現して汎用のレオロジー計測手法として確立することを目的とした。これにより従来はレオロジー計測の対象範囲外であった10mPa·s以下の粘性領域における流体の力学物性計測の標準を提供できる。本研究ではまず、非常に小さいトルク印加時に実現される超低回転数の光による検出技術の開発を行った。回転プローブの上部にミラーを取り付けてレーザーを照射し、反射光のスポットを検出することにより10-6radの角度分解能を実現した。これを用いて純水などの典型的な低粘性液体の低ずり速度における粘性を測定した結果、従来法では測定できない低いずり速度領域においてこれらがニュートン粘性を示すことを確認した。 さらに完成した装置を用いて、たんぱく質や脂質・高分子などの溶液中での一分子状態を調べる新たな研究手法である「低粘性スペクトロスコピー法」の展開をはかった。その一例として、ある種のたんぱく質水溶液において、温度上昇に伴う表面からの溶液の蒸発に伴い、タンパク質分子濃度が上昇して凝集を示す前駆現象を極めて高い精度で検出することができた。 さらに研究を進めていく中で、界面活性剤の曇点検出のための実験において、水溶液の表面に吸着した分子膜によりプローブの回転速度に偏差が生じることが明らかとなった。これを精密に計測すれば、これまで測定不可能であった分子吸着膜の2次元粘弾性を検出できることから、表面近傍の粘性検出に特化した特殊形状の回転プローブの作製を行った。さらにこれを用いて得られた結果から、表面に吸着した分子膜が示す2次元粘性粘弾性計測の可能性が見出された。典型的な界面活性剤溶液について得られた表面粘弾性の値は、過去のラングミュア膜の表面粘性測定の結果とおおむね一致することがわかった
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