2012 Fiscal Year Research-status Report
超大規模非エルミート行列の内部固有値解析とメタマテリアル複合材料への応用
Project/Area Number |
24560073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
寺尾 貴道 岐阜大学, 工学部, 准教授 (40271647)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタマテリアル / フォトニック結晶 / 計算物理 / 応用光学・量子光工学 / ハイパフォーマンス・コンピューティング |
Research Abstract |
近年、メタマテリアル(負の屈折率を有する光学材料)の特性、及びその光デバイスへの応用が注目を集めている。本研究課題ではこの問題に関連して、超大規模非エルミート行列の内部固有値問題に適した計算手法の開発を行い、メタマテリアル複合材料における大規模シミュレーション解析を実施する事を目的としている。平成24年度は、上記の超大規模非エルミート行列における固有値解析手法に関する研究を行った。上記の問題を数値的に解く為に、本研究申請者が独自に開発した手法である「拡張リッツ部分空間法」について、超並列スーパー・コンピュータを用いた計算プログラムにおける計算速度、及び計算精度に関する性能評価を行った。また本研究では、メタマテリアル・フォトニック結晶における光・電磁波の伝搬特性について明らかにした。 メタマテリアル複合材料においては、系の屈折率が負の値をとる周波数領域が出現するが、この系の屈折率においては周波数依存性が複雑な振る舞いを示し、いわゆる分散性媒質としての取り扱いが必要となる。本研究において用いたシミュレーション手法では、材料の屈折率における複雑な周波数依存性に関して、従来用いられてきた他の数値計算手法よりも、より厳密かつ一般性の高い取り扱いを行う事が容易になるという長所が存在する。実際のシミュレーション解析においては、実験的に注目されている複数の周期構造を有するメタマテリアル複合材料における、フォトニック・バンド構造について明らかにした。また、該当する周波数領域近傍におけるモードパターン解析を行い、負の屈折率材料及びその境界面における電磁場の振る舞いについて、定量的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における「研究の目的」の達成度に関しては、順調に進展している。また個別の課題においては、当初の計画以上に進展している。その具体的な内容及び理由は下記の通りである。 (1) 超大規模エルミート行列の内部固有値問題という課題に関して、「拡張リッツ部分空間法」により得られる固有値(固有ベクトル)の精度評価を行い、実用上十分精度の良い数値解を得る事に成功している。 (2) 本研究課題に関連する問題について、MPIを用いた超並列化およびそのチューニング作業を予定通り進めている。 (3) 材料の屈折率における分散性を考慮した、メタマテリアル・フォトニック結晶(メタマテリアル複合材料)に関する数値的研究を行い、比較的構造が簡単な複合材料における分散関係や状態密度の振る舞いについて明らかにしている。 これらの得られた研究成果に関しては、現在投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(特に平成25年度)の研究に関する推進方策に関しては、以下の通りである。 (1) 「現在までの達成度」の欄でも記述した内容と関連して、超並列スーパーコンピュータにおける、より大規模かつ高速な計算コードの開発を引き続き行う。 (2) メタマテリアルという特殊な性質を有する材料に適した、新たな数値シミュレーション手法の開発を行う。 (3) 今後、より複雑な構造を有するメタマテリアル複合材料に関する解析を行う。また、系のランダムネスの影響についても議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)