2013 Fiscal Year Research-status Report
超大規模非エルミート行列の内部固有値解析とメタマテリアル複合材料への応用
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24560073
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
寺尾 貴道 岐阜大学, 工学部, 准教授 (40271647)
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Keywords | メタマテリアル / フォトニック結晶 / 計算物理 / 応用光学・量子光工学 / ハイパフォーマンス・コンピューティング |
Research Abstract |
近年、メタマテリアル(負の屈折率を有する光学材料)の特性、及びその光デバイスへの応用が注目を集めている。本研究課題ではこの問題に関連して、通常の光学材料とメタマテリアルを組み合わせた系である、メタマテリアル複合材料に適した大規模シミュレーション手法の開発、およびその具体的な問題への適用に関する研究を行っている。 メタマテリアルにおいては一般に、材料の誘電率や透磁率の周波数依存性が共に複雑な振る舞いを示す、分散性媒質であるという特徴がある。従来の研究におけるフォトニック結晶の数値解析では、平面波展開法という計算手法が多くの研究者によって用いられてきた。しかし従来の平面波展開法においては、材料における周波数分散の影響を取り扱う事が困難であるという問題点が存在する。平成25年度における研究においては、この問題点に対して拡張された平面波展開法(一般化平面波展開法)の開発を行う事により、メタマテリアルの様に誘電率および透磁率がいずれも任意の周波数分散を有する材料を、直接数値的に取り扱う事が可能となった。本研究ではまず、本計算手法を3次元メタマテリアル・フォトニック結晶の問題に適用して、平面波展開に関する計算結果の収束性について確認した。また、電磁波の伝搬に関する分散関係について明らかにした。特に、メタマテリアルの誘電率がゼロとなる特徴的な周波数近傍における、系の物理的特性について定量的に議論した。また関係する話題として、非周期系のメタマテリアル多層膜における、透過率の周波数依存性についても明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における「研究の目的」の達成度に関しては、順調に進展している。その具体的な内容および理由は下記の通りである。(1) 拡張された平面波展開法(一般化平面波展開法)の開発を行う事により、メタマテリアルの様に誘電率および透磁率が周波数分散を有する材料を、直接数値的に取り扱う事が可能となった。(2) メタマテリアル複合材料において、(メタマテリアルの)誘電率がゼロとなる特徴的な周波数近傍における、電磁波の伝搬特性について明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(特に平成26年度)の研究に関する推進方策については、下記の通りである。 (1) 平成25年度に行われた研究においては、3次元メタマテリアル・フォトニック結晶における分散関係について明らかにした。平成26年度においてはその研究をさらに進める為、本研究課題である大規模非対称行列系の内部固有値・固有ベクトル解析手法を適用して、上記の系における電磁場の空間分布に関するモード解析を行う。(2) 系の誘電率・透磁率分布が不均一なメタマテリアル系における、物理的性質に関する研究を進める。(3) 最新のスーパー・コンピュータに適した、ソフトウェアの開発およびチューニングを実施する。また、より効率の良い並列計算手法に関する探索を行う。
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Research Products
(7 results)