2013 Fiscal Year Research-status Report
格子の対称性に着目した原子ダイナミクスの新たな力学モデルの構築
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24560074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 祐介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10403172)
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Keywords | 非線形格子モデル / 離散ブリーザー / 非線形局在モード / 分子動力学 |
Research Abstract |
結晶格子構造におけるエネルギー局在構造の伝ぱダイナミクスの理解のために,格子の対称性に着目をした複素ノーマルモード空間におけるダイナミクスに着目をして解析を行った。今年度は,従来4粒子モデルにおいてのみ定式化が行われていた対称格子の構成法についてn(nは偶数)粒子系への拡張について検討を行い,一般的に対称格子モデルが構成可能であることを証明した。対称格子モデルを構成するために解くための式が明らかになったことにより,より大規模な格子において対称格子モデルを構成することが可能になった。これにより,昨年度は近似計算によって数値シミュレーションによって解析を行った対称格子モデルにおける多くのエネルギー局在構造の相互作用についての解析をさらに大規模なモデルによって行うことが可能となった。 一方,現実の結晶格子構造における解析では,第一原理計算によって原子間の力場を解析しつつ,非線形ノーマルモードを解析することを検討した。フォノンモード解析から得られた線形のノーマルモードの振幅を大きくすることによって非線形効果を織り込んだ形で分散関係を計算することを試みた。それにより,非線形効果により非線形ノーマルモードの振動数が増大することを確かめた。また,得られた非線形ノーマルモードの時間発展を解析した結果,変調不安定による他の振動モードの励起が観測された。この不安定過程ののち空間的なエネルギー局在構造が観測され,最終的に熱平衡状態に至る様子が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称格子モデルの構成法の一般化について重要な結果が得られた。これは非線形格子力学において大きな意味があるものと考えられる。また結晶格子構造における動力学解析についても,数値シミュレーションに基づいた結果を蓄積しつつあり,概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた数理モデルにおける対称格子モデルの構成法に基づいて,従来よりも大きな格子モデルを構成し,ノーマルモードから不安定化およびその後に生じるエネルギー局在構造の相互作用および崩壊過程について詳細な解析を行う。また,解析的手法によって連続体モデルにおける偏微分方程式との関係を解析することも検討する。 また,結晶格子モデルにおいては,第一原理計算と分子動力学法を用いて,多次元のシステムにおける局在構造のダイナミクスについて体系的な解析を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一昨年度繰越額について,大型計算機を導入予定であったが,理論計算の展開について進展があったため,計算手法の見直しを行う必要が生じた。 計算機システムについて再検討を行い導入を行う予定である。また,国際会議において研究成果発表を行う予定である。
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Research Products
(12 results)