2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金山 寛 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90294884)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大規模領域分割解析 / 高速化 / 並列処理 |
Research Abstract |
粘性流解析は、既に線形対称系のStokes流については一定の成果を出しており、これを非線形のNavier-Stokes方程式や熱対流方程式の場合に拡張している。姚清河(中山大学)とのこれまでの研究により、特性曲線法を利用することで、非定常解析については線形対称系のStokes流における成果がほとんどそのまま適用できることを示した。非定常Navier-Stokes方程式の場合はほぼ完成し、さらにその成果を非定常熱対流解析に拡張している。平成24年度中にはADVENTURE_sFlowの非定常版の新バージョンを公開する予定であったが、平成25年度末に遅れる予定である。 磁場解析は、これまでの研究によって画期的な方針が固まっていたので、平成24年度に磁場解析への前処理適用方法を確立させた。 構造解析は、これまでの研究によりほぼ高速化が一段落しているため、他の非構造分野の高速化推進の拠点的役割を果たし、共通ツールの迅速な提供を目指している。また、ソフトウェアの実用レベルを高める研究も加速した。特に、次世代計算機も含め、ハードウェアの性能向上に対応する高速化を推進した。計算機性能の発展と変化は著しいため、研究期間中は最後まで継続して行う。荻野正雄(名古屋大学)と杉本振一郎(東京大学)の協力を得て、これまでも多様な計算機に対してソフトウェア実装面からハードウェア性能を引き出す研究を続けてきており、この最低限の成果を担保とし、前処理や解法等のアルゴリズム上の成果の上積みを図る。 研究代表者は上記研究を統括するだけではなく、その過程を通して領域分割法のインターフェース問題を記述する連立1次方程式を解く際の前処理行列の統一的構築方法を確立し、共役勾配法から最小残差法への変更等の解法の改良も含めて見通しのよい高速化を実現する予定であるが、具体的な成果は平成25年度以降に持ち越しになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
九大最終年度は、科研費研究に関連した企業との共同研究に注力したために 応用面は格段に進んだが、科研費研究で行う予定であった基礎研究のいくつかが その分だけ、少し遅れ気味になっている。しかし、企業との共同研究で いくつかの問題点がクリアになってきたので、その問題点の解決を この科研費研究で図りたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は研究代表者の所属変更があったが、本研究の研究方針並びに研究計画はこれに影響されないようにする。磁場解析の前処理は平成23年度中に決定した研究方針に基づき、平成24年度中に完成させる予定であったが、平成25年度以降にずれ込んでいる。実自由度を対象にした静磁場解析での適用(平成24年度の計画内容)をまず完成させ、複素自由度を対象にした渦電流解析等への対応(平成25年度以降の計画内容)も並行して行う。電気自動車の普及等により電磁環境適合性(EMC)のための電磁場解析のニーズも高まることが予想される。これらの解析ニーズに本研究課題で開発したソフトウェアを応用していき、超大規模解析の有効性を世界に示していきたい。低炭素社会実現に向けてのわが国の技術的底力を示すことにも繋がると思われる。なお開発した前処理機能を装備したADVENTURE_Magneticの新バージョン公開は平成26年度中には終了する。 流れ解析についても、平成25年度以降は平成24年度にやり残したことをまず解決する。特に熱方程式部分のソルバーの更新を検討する。平成24年度までの領域分割法によるアプローチがNS方程式部分に限定されることや高Rayleigh数の問題に検討課題を残しているためである。研究の進捗状況を見極めながら社会が求める解析ニーズに呼応しつつその時点の最優先課題を設定し最善を尽くす。 構造解析も含めて上記の個別の解析の足並みが揃うのは平成26年度以降と思われる。この頃には次世代スーパーコンピュータ京の運用もはっきりし、電気自動車や燃料電池車の普及についてもある程度のメドが立ってくることが予想される。社会が求める連成問題の解析ニーズに合わせて我々の開発ソフトウェアを活かしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
九州大学最終年度は科研費研究に関連した企業との共同研究を強力に推進したため、所属機関変更後に科研費研究を集中的に行うのが得策であると判断した。また平成25年度は研究代表者のフルタイムの職場が得られなかったため、週1回の名古屋大学情報基盤センターでのパートタイム勤務はあるものの、週4日は自宅で研究することになった。 国内外の研究会参加のための旅費を今後2年間にわたり用意する必要があるが、研究拠点が自宅に変更になったので旅費の負担が多くなることが予想される。また研究打ち合わせを行う際にも有料の施設を借りる必要があるなど、これまでのように研究拠点を九州大学に置いていた場合には必要がなかった諸経費が発生する。これらの諸経費もこの次年度研究費で賄いたいと考えている。 成果発表を効果的にするためにこれまでと同様に国内外の主要な会議でWorkshopやMini-Symposiumを積極的に主催し(毎年国際会議1件、国内会議2件程度)、研究成果をPRするとともに開発ソフトウェアの国際的な普及を図ることは継続する。次年度研究費で平成25年度以降の研究環境が整備でき、なお残額が発生する場合には平成25年度活動費の強化に当てることは言うまでもないことである。
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Research Products
(14 results)