2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
薩摩 順吉 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70093242)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 差分方程式 / 数理工学 / セルオートマトン / 超離散 |
Research Abstract |
本研究は「超離散解析を工学システムに応用し、これまでの離散解析では取り扱いが困難であった問題に対して新しい知見、延いては新しい解決策を見いだすこと、及び、さまざまな非線形工学システムに対して超離散化・逆超離散化を用いた新しい解析手法の提案を行うことにある」を目的とする。これに関して本年度は以下の研究成果を得た。 1)超離散系の「可積分性」を判定する方法を線形化可能ないくつかの方程式に適用し、離散・連続系との対応を考察した。この研究は「負の問題」を避けることのできる新しい超離散化手法を用いたが、研究結果はその有効性を強く示したものである。今後、この手法により超離散系として扱える対象が拡がることが期待できる。2)超離散KdV方程式について、一般的な初期値に対する解を解析的に表現した。この結果は超離散方程式に対して,直接解析できる例を与えたもので、今後さまざまな方程式に拡張していく予定である。3)線形化できる差分方程式の解の構造を詳しく調べた。この結果は連続系・離散系・超離散系の関係を明らかにするための知見を与えたものである。4)qエアリー方程式の解であるqAi関数、qBi関数の超離散極限の構造を明らかにした。またその中で、制限付き分割数が満たす無限個の関係式を得た。これまで不明であった関数の超離散極限を具体的に与えたもので、超離散系研究における重要な結果である。5)超離散系に対するカルマンフィルターを提案した。今後、系の拡張を検討し、ある種の非線形カルマンフィルターの構成を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超離散システムに対するさまざまな知見を得るとともに、工学システムの一つとして重要なカルマンフィルターについて、その超離散系への拡張という結果を与え、研究目的であげた課題の解決をさらに進めていけると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進んでおり、今後国内外の研究者との研究討論を活発にし、研究を深化させていきたい。その上で、これまでの研究成果をもとに、さらに意義ある研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究経費のうち、最も大きな割合を占めるのは外国旅費、国内旅費である。今年度は国際会議で超離散系に関する招待講演を行うこと、フランスの研究者と超離散系に関する研究討論を行うことを予定している。また国内の研究者と,カルマンフィルターなどに関する研究討論を数回行うことを予定している。また研究課題に関わる知見を得るため、さまざまな研究集会に参加することも計画している。これら旅費に対して本年度使用可能額約1730000円のうち、1200000円程度を支出する。そのほか研究に関わる書籍購入、専門的知識を提供して頂く研究者に対する謝金、数値計算の補助をして頂く大学院生に対する人件費も支出する予定である。
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Research Products
(8 results)