2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560078
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
薩摩 順吉 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70093242)
|
Keywords | 超離散系 / パンルヴェ方程式 / 非線形差分方程式 / カルマンフィルター |
Research Abstract |
本研究は「超離散解析を工学システムに応用し、これまでの離散解析では取り扱いが困難であった問題に対して新しい知見、延いては 新しい解決策を見いだすこと、及び、さまざまな非線形工学システムに対して超離散化・逆超離散化を用いた新しい解析手法の提案を 行うことにある」を目的とする。これに関して本年度は以下の研究成果を得た。 1)超離散系の「負の問題」を避けることのできる新しい超離散化手法について拡張を進め、幅広い方程式系に適用可能であることを示した。研究結果は新しい手法の有効性を強く示したものである。2) 新しい超離散化手法を用いて、超離散PainleveIII方程式の特殊解の系列を与えた。一般的なパラメータの値に対する証明はまだできていないが、計算を行った複数のパラメータに対する解の表現は、一般的な場合の解の存在を強く示唆している。今後、一般的なパラメータに対する解の表現を求める予定である。3)昨年度に引き続き、線形化できる差分方程式の解の構造を詳しく調べた。この結果は連続系・離散系・超離散系の関係を明らかにするための知見を与えたものである。 4)超離散 Van der Pol方程式に対してカルマンフィルターを構成することを試みた。その結果、初期値とパラメータにある仮定を与えることで、各時刻において初期値とパラメータのみの条件で値が定まり、カルマンフィルターが有効に働く可能性があるという結果を得た。今後、数値計算を進め、その妥当性をするとともに、他の非線形系に拡張していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超離散システムに対するさまざまな知見を得るとともに、工学システムの一つとして重要なカルマンフィルターについて、非線形問題の超離散系への拡張という結果を与え、研究目的であげた課題の解決をさらに進めていけると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
比較的順調に研究が進んでおり、今後国内外の研究者との研究討論を活発にし、研究を深化させていきたい。その上で、これまでの研究成果をもとに、最終年度としてより意義ある研究を進めていくつもりある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた国際会議に参加できなかったため。 以下の4件が主な支出である。非線形離散系に関する研究討論(毎月1回程度)、ギリシャで開催される研究集会への参加と発表(9月)、超離散系に関するフランスの研究者との研究討論(3月)、非線形可積分系に関する台湾の研究者との研究討論(12月)。他に、研究関連書籍購入、専門的知識の提供に関わる謝金も予定している。
|
Research Products
(5 results)