2014 Fiscal Year Annual Research Report
自律型原子モデリングと原子構造不安定解析による強誘電材の劣化メカニズムの解明
Project/Area Number |
24560087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅野 宜崇 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40314231)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 原子シミュレーション / 強誘電体 / マルチフィジックス / 構造不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電材料は,不揮発性メモリデバイス(FeRAM),MEMS アクチュエータ,センサ,環境エネルギー回収発電など様々な応用範囲を持つ.強誘電材における,ドメイン壁移動による分極スイッチングに及ぼす結晶欠陥や界面の影響が大きく関与していると考えられる機能劣化メカニズムを明らかにすることが本研究の目的である.そのため本研究では,強誘電体の電気分極(電気ひずみ)と機械的ひずみの連成効果を適切に記述できる原子間ポテンシャルを第一原理ベースで開発し,それを用いた原子モデル解析(分子動力学計算)によってドメイン壁移動のシミュレーションを行った.本年度は昨年度までの解析を発展させ,欠陥がドメイン壁移動に及ぼす影響および応力・電場重畳効果に注目して,チタン酸鉛(PbTiO3)のドメイン壁移動の分子動力学計算を行った.その結果,酸素空孔がドメイン壁移動の臨界応力を著しく上昇させることが明らかとなり,構造欠陥によってドメインスイッチングが妨げられるメカニズムを解明することに成功した.また,ドメイン壁移動には応力負荷および電場の相互作用(マルチフィジックス)効果が大きいこと、それらは顕著な方向依存性を持っており、応力・電場効果共に異方性が強いことが明らかとなった.
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