2012 Fiscal Year Research-status Report
ゲル材料の膨潤分岐座屈解析のための理論構築と検証及び応用
Project/Area Number |
24560096
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 大 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362283)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ゲル材料 / 膨潤 / 座屈 / 不安定 |
Research Abstract |
当初の研究計画では,平成24年度には,超弾性材料モデルに対して,汎用的に膨潤現象を導入するための理論を構築し,さらには,有限要素解析のための基礎式を導出,有限要素解析ソフトへの組み込みのためのユーザー材料サブルーチンを開発する予定であった.また,一様膨潤の試験解析によって,理論と解析手法の妥当性を確かめる予定であった.しかし,理論の構築の準備は進んでいるものの,研究成果として示すことのできる業績を残すことはできなかった.一方,平成25年度に実施予定であった予負荷を受ける円孔ゲル薄膜の膨潤座屈解析については,その予備解析として予負荷がない場合の解析を実施した.この解析では,材料モデルとしては,最も有名で単純なFlory-Rehnerの自由エネルギー関数を用いた.また,正方配列に円孔を有するゲル薄膜に生じる膨潤座屈パターンに対して初期不整の及ぼす影響を解析した.この結果として,初期不整に依存して3種類の座屈パターンが生じうることを示すとともに,優先的なパターンは実験でも観察されているダイアモンドプレートパターンであることを確認した.さらには,ダイアモンドプレートパターンへの変態は,局所的に生じたダイアモンドプレート構造が領域全体に伝播することによって達成されることがわかった.この知見は,初期不整に依存して生じるパターンが異なるものの,ダイアモンドプレートパターンが広範囲にわたって均質に生じることの機構を明らかにしており,実験結果を合理的に説明することに成功したといえる.この研究成果は,3月に開催された日本機械学会東海支部で講演発表するとともに,次年度には国際会議で発表予定である.また,現在,国際雑誌への論文投稿に向けて,原稿を執筆中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画によれば,平成24年度には,超弾性材料モデルに対して,汎用的に膨潤現象を導入するための理論を構築し,さらには,有限要素解析のための基礎式を導出,有限要素解析ソフトへの組み込みのためのユーザー材料サブルーチンを開発する予定であった.しかしながら,資料収集と検討は進展しているものの成果を残すことができておらず,一方で,平成25年度以降の計画内容について,先行して研究を進め,成果を得ている.したがって,これらの点を考慮してこのように達成度を評価した.次年度には,現在進めている構成式開発を鋭意進展させ,従来モデルとの比較及び実験結果との比較によって,その有用性を示すとともに,積極的に学会で発表し,論文としても成果を残せるようにしたい.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度で述べたように,理論的には構成式開発に注力し,並行して,予負荷を受ける円孔ゲル薄膜の膨潤座屈解析を実施する.また,平成26年度に実施予定のゲル薄膜に生じる規則的なしわパターンの解明については試験解析を開始したい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
|