2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560104
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岩本 知広 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (60311635)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 超音波接合 / マグネシウム合金 / 透過型電子顕微鏡 / 溶接 / 界面 |
Research Abstract |
本研究では3つの研究を平行して行っているため、それぞれについての本年度の実績を記述する(1)可逆的なナノ構造体を含んだインサート材を用いたMg合金の抵抗スポット溶接法の開発 本年度はMg96Zn2Y2合金をインサート材としてMg合金AZ31B同士のスポット溶接を行った。インサート材なしで接合した場合と比較すると、若干低い溶接電流で接合可能であることが分かった。溶接部では一様に溶融が起こっており、マクロな溶接欠陥は存在しなかった。Mgの結晶粒界にZnやYが広く偏析していることが分かった。(2)Mg96Zn2Y2合金同士の抵抗スポット溶接における接合組織とその機械特性の解明 Mg96Zn2Y2合金合金同士を直接抵抗スポット溶接した場合は、AZ31Bマグネシウム合金を溶接した場合に比べて2/3程度の溶接電流で接合可能であることが分かった。また接合部ではデンドライトのMgのアーム間にZnとYが偏析し、LPSO相が形成することが分かった。ビッカース硬度試験の結果では、溶接部の硬度は母材に対して若干低いものの、AZ31Bマグネシウム合金などの硬度よりも高いことが分かった。接合体を引張りせん断試験したときの破断荷重を比べた結果、シェア破断する条件下でMg96Zn2Y2合金接合体の方が高い結果が得られたが、これは溶接部の硬度差が関係すると考えられた。(3)接合界面にナノ構造体を挟んだ超音波接合法の開発 ガラス/Al接合体、ガラス/Mo/Al接合体の接合部の断面を走査型電子顕微鏡のチャンネリングコントラストを用いて観察した結果、全面で結晶粒径が約100分の1程度と劇的に細かくなっていることが分かった。これより本超音波接合法では回復、再結晶などの微細粒化過程がAl内部で起こっていることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究課題とも当初の目標を達成し、次年度に展開するための多くの基礎的知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果を踏まえ、来年度は以下の研究を推進する予定である。(1)インサート材を用いた抵抗スポット溶接法の研究ではMg96Zn2Y2合金をインサート材とした場合においても健全な接合体を作製できることが分かった。今年度はさらに、非常に多くのLPSO 相を含んだMg85Zn6Y9 板を用いることで本接合におけるインサート材中のLPSO 相の役割をさらに際立たせた接合を行う。これより、接合部におけるLPSO 相析出条件などを明らかにすると共に、接合体の機械特性、接合組織などについて研究を行う。(2)Mg96Zn2Y2合金同士の接合では、昨年度静的な機械特性や接合組織の解明により多くの基礎的な知見が得られた。本年度は本合金溶接部に対して走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡により観察しながら応力を加えることにより、溶接部の組織、特にLPSO 相の変形過程を明らかにすると共に、機械的強度発現因子を動的に直接調査していく。(3)超音波により接合されたガラス/Al接合体の観察を通じて、超音波のAlへの影響が明らかになってきた。本年度は接合界面にAg のナノ薄膜を挿入した場合について、接合体の接合部の断面を走査型電子顕微鏡によるマクロ観察、透過型電子顕微鏡、分析電子顕微鏡などによるナノ観察、元素分析等を行うことで、Agナノ構造体の超音波接合に対する役割を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度得られた様々な研究成果を発表するために旅費が必要である。またさらに研究を進展させるための材料費、消耗品などを購入する予定である。
|
Research Products
(7 results)