2012 Fiscal Year Research-status Report
廃棄ガラス繊維強化プラスチックを利用した高強度多孔質セラミックスの開発とその応用
Project/Area Number |
24560106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
木之下 広幸 宮崎大学, 工学部, 助教 (80295196)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リサイクル / GFRP / セラミック |
Research Abstract |
1.廃棄GFRPを用いたセラミックの実践的な製造方法を提示した.具体的には,強熱減量試験と化学成分分析により廃棄GFRPに含まれるガラス繊維の含有率を特定する方法,廃棄GFRPを液体窒素により冷却した後にミルを用いて粉砕する方法を提案した.次に,実際の廃棄GFRPを用いた場合も粘土マトリックがガラス繊維により強化されたセラミックスが得られることを示すとともに,その強化のメカニズムを明らかにした.また,提案していた材料設計手法を用いることにより,粘土に対するGFRPの混合率を決定し,目標とするセラミックの強度が得られることを示した.さらに,セラミックの化学成分分析,浸漬液のpH測定および耐酸性試験を行い,その環境適合性を明らかにした.以上の研究成果は「Journal of Environment and Engineering」に公表した. 2.地球温暖化対策ならびに夏期の省電力化が喫緊の課題となっていることから,本研究のセラミック基盤材とコケからなる緑化プラントの開発を行った.緑化プラントをビルの屋上などに設置することにより,ヒートアイランド現象を緩和するとともに,屋内温度の低減を図ろうとするものである.まず目標の強度と高い吸水率が得られる条件で基盤材を作製した.次にコケ緑化プラントの製造方法として,基盤材に植物用接着液を塗布し,所定の大きさに切断したコケ粒をその上に撒布する方法を試みた.その結果,基盤材に直にコケが活着するとともに外観のよい緑化プラントが得られることが明らかとなった.また,コケ緑化プラントが植生用インターロッキングブロックとしての強度や屋上用緑化プラントとしての重量制限の規格を満足することを確認した.さらに,コケ緑化プラントの放射熱の抑制効果と二酸化炭素濃度の低減効果を明らかにすることによりその有用性を示した.本研究成果は「日本実験力学会誌」に公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①材料特性を明らかにすること,②材料設計手法を確立すること,③廃棄GFRPの粉砕方法を確立すること,④セラミックの特性を活かして,ヒートアイランド現象の対策技術としての保水性インターロッキングブロックおよび緑化基盤材への適用を図ること,を具体的な目標に掲げた.これらの目標に対する現在までの達成状況は以下のようである. ①「材料特性を明らかにすること」について,セラミックの常温における静的強度はほぼ明らかにした.耐凍害性については実験を実施中である.繰返し疲労特性についてはまだ未実施である.熱伝導特性については緑化基盤材の開発においてある程度明らかにした. ②「材料設計手法の確立」については,提案していた材料設計手法(粘土に対するGFRPの混合率とセラミックの強度との関係を数式化する手法)を適用することにより,粘土に対するGFRPの混合率を決定し,目標とするセラミックの強度を得ることが可能となった.したがって目標はほぼ達成できた. ③「廃棄GFRPの粉砕方法の確立」については,廃棄GFRPを液体窒素により冷却した後にミルを用いて粉砕することにより,粉砕効率を大幅に高めることが可能となった.したがってこの目標もほぼ達成できた. ④「保水性インターロッキングブロックおよび緑化基盤材の開発」については,本年度は主に緑化基盤材の開発を行い,本研究のセラミック基盤材に直にコケを活着させた緑化プラントを作製した.そしてこのコケ緑化プラントが,植生用インターロッキングブロックや屋上用緑化プラントとしての規格を満足するとともに,放射熱の抑制効果と二酸化炭素濃度の低減効果があることを明らかにした.したがって目標はほぼ達成できた.「保水性インターロッキングブロックの開発」については,セラミック材の熱伝導率の測定,気孔径および気孔分布の測定ができなかったことから,まだ達成されていない.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の目標および研究計画に大きな変更はないので,達成できていない課題について引き続き研究を行う.具体的には,以下の課題についての研究を主に行う. ①「保水性インターロッキングブロックの開発」に関して,輻射熱の抑制効果(日射による温度上昇の抑制効果)と周辺温度の低減効果を明らかにするための実験を行う.また,平行して,この研究開発に重要となるセラミック材の熱伝導率,気孔径および気孔分布を明らかにする.なお,これらの物性値は既存の測定装置を用いれば測定可能であるが,費用の面から測定できなかった.測定できない場合は,他の方法により物性値の推定に取り組む. ②「材料特性を明らかにすること」について,耐凍害性についてはデータを蓄積中であるので,今後その特性を明らかにすることができるものと考えている.セラミックの繰返し疲労特性についてはその後に実施する予定である. ③研究成果を積極的に公表する.特に,学会での発表を多く行いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・国際会議JTL 2013(開催地タイ,バンコク,2013年8月)への参加費(旅費および参加登録費) ・論文掲載費 ・原材料費,粉砕機等の消耗品費
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