2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
陸 偉 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20398423)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 解析・評価 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
高強度ゲルは従来のゲルと比べ優れた力学特性を有するため,構造部材への応用が期待されている. 平成24年度では,3種の高強度ゲルに着目し,まず中性子散乱実験によって解明されたそれぞれのゲルの力学特性発現機構や変形機構に基づいてゲルの力学モデルの構築を行うことを研究の目的としていた.そのために,まず,並列させたスライダー要素とばね要素を用いて,DNゲルの脆い成分である1次ネットワークと柔らかい成分である2次ネットワークのそれぞれの高分子鎖の変形特性を表し,8鎖モデルに導入することにより高分子鎖の空間配向分布を表現可能なモデルを構築した.次に,1次ネットワークの断片が架橋点として働くという実験事実に基づき,高分子鎖網目の局所的な変形量に応じて,2次ネットワークのからみ点数を増加させるようにモデルの改良を行った.最後に,DNゲルの繰り返し引張試験を行い,実験結果を定量的に再現するために,1次ネットワークのパラメータはゲルの弾性係数と降伏応力の実験データを,2次ネットワークのパラメータは1次ネットワークが完全に破壊した後の実験データを用いて同定した.その結果,本研究で構築した力学モデルはDNゲルの負荷過程の実験結果を再現できた. また,平成24年度の研究成果は国際論文雑誌Key Engineering Materialsへの投稿および日本機械学会のM&M2012材料力学カンファレンスでの発表を通じて発信した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度当初の研究実施計画に沿って研究を進めることができました.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で構築されたDNゲルの力学モデルの妥当性を検証するために,単軸引張と異なる負荷条件下での変形応答の実験データを取得する必要がある.そこで,平成25年度では,まず,発泡樹脂の三次元的な圧縮特性評価する際に用いた試験装置をベースに,ゲル用多軸圧縮試験装置を製作する.また,単軸圧縮または2軸圧縮負荷を試験体に与えられるように,試験装置の外枠の板にレールを設け,板の位置を負荷条件に応じて調整する.さらに,試験体の自由表面の変位を非接触型のレーザ変位計を用いて測定することを計画している.そのために,試験装置の外枠の板にスリットを開け,レーザビームが通せるように工夫を施す.次に,取得した多軸圧縮試験の実験データを用いて,提案したDNゲルの力学モデルの妥当性を検証し,必要に応じてDNゲルの力学モデルの改良を行う.最後に,DNゲルに関する研究と同様な方法で,環動ゲルとNCゲルの力学モデルの構築と改良を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では試験体の自由表面の変位量を計測するために,非接触型変位計が必要で,レーザ変位計の導入を計画したが,未導入であったため,「次年度使用額」90万円弱が生じた.平成25年度では,レーザ変位計の導入を計画しており,「次年度使用額」90万円弱をレーザ変位計の購入費用として計上する.
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