2012 Fiscal Year Research-status Report
骨軟骨再生のための圧電粒子添加ナノファイバースキャホールドの開発
Project/Area Number |
24560114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森田 有亮 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (80368141)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨軟骨再生 / スキャホールド / ナノファイバー / 圧電材料 / エレクトロスピニング |
Research Abstract |
本年度は,生体吸収性ポリマーであるポリ乳酸(PLA)に圧電粒子としてチタン酸バリウムのナノ粒子を添加した溶液を用いて,圧電粒子添加ナノファイバーの作製技術の開発を行った.PLA/BTO比率は,重量比率で6/1,3/1および1/1とした.ナノファイバーの作製にはエレクトロスピニング装置を用いて,溶液濃度,印加電圧およびコレクタ・ノズル間距離などの最適紡糸条件の探索を行った.SEM観察より作製したファイバーの繊維径は400nm程度であるが,PLA/BTO(1/1)ナノファイバー表面にわずかに凹凸が見られた.TEM観察よりチタン酸バリウム粒子がファイバー内部に均一に分布していることが確認された.走査型プローブ顕微鏡によりファイバー表面の電位測定を行った結果,わずかにファイバー表面に電位の変化した領域が観察され圧電粒子によってファイバー表面に電位が生じていることが示唆された.示差走査熱量計を用いて結晶化度を測定した結果,PLA/BTO(1/1)ナノファイバーにおいて結晶化度のわずかな低下が見られた. 圧電粒子を添加せずPLAのみで厚さ方向のファイバー密度の異なる階層構造を有するスキャホールドの作製技術の開発を行った.2種類の溶剤でPLA溶液を作製し,それぞれの溶液でのエレクトロスピニング紡糸の最適紡糸条件を探索することで,2層構造のスキャホールドを作製した.SEM観察より,作製したスキャホールドの厚さは0.5mm程度,1層目および2層目の繊維径は約2.5μmと約790nm,ファイバー間距離は7.6μmと2.8μmであることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施計画としては,チタン酸バリウム粒子添加PLAナノファイバーの最適紡糸条件の探索であった.作製したファイバーが,ナノファイバーであり,またチタン酸バリウム粒子が均一に分布していることが確認され,エレクトロスピニングによる圧電粒子PLAナノファイバーの紡糸条件探索に成功した.また,走査型プローブ顕微鏡によってファイバー表面の電位も確認された. 階層構造スキャホールド創製では,作製したスキャホールドが繊維径およびファイバー間距離がそれぞれ異なる2層構造のスキャホールドであることが確認された. 以上より,概ね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,添加したチタン酸バリウムのファイバー表面電位への効果をさらに高めるため,粒子添加密度やファイバー表面近傍の粒子密度を向上させるよう紡糸技術の改善を進める.また,スキャホールドを作製し,開発した圧電粒子添加PLAナノファイバースキャホールドが骨髄細胞の分化や骨形成に及ぼす影響について評価する. 階層構造スキャホールドの開発では,細胞の分布がスキャホールド内で均一になるようなファイバー間の制御を行い,より効率的に細胞播種が可能なスキャホールド構造の探索を行うと共に,軟骨細胞の播種と組織形成について評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PLAナノファイバーの作製に必要な原材料・薬品類の購入,エレクトロスピニング装置の改良に必要な材料の購入・部品加工に使用する.また,細胞を用いての評価のため,細胞を採取するための動物の購入,培養関連の消耗品および生化学分析用試薬の購入に使用する.
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Research Products
(2 results)