2013 Fiscal Year Research-status Report
非線形超音波法による金属材料の劣化・損傷の非破壊画像化と識別
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24560119
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Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
Principal Investigator |
川嶋 紘一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (50023239)
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Keywords | 非線形超音波 / 高調波 / 画像化 / 微細欠陥 / 介在物 / 局部塑性変形 |
Research Abstract |
本研究では,水浸非線形超音波(高調波)画像化法を用いて,組成・物性が母材と極わずか異なる異質部・劣化部・損傷部を非破壊的に可視化し,複数の超音波特徴量を用いてそれらの種類を識別することを目的とする. 米国RITEC社から購入した送信バースト波上限周波数が約100MHzの送信機を用いて30MHz域でのバースト波を送信し,100MHzのハイパスフィルタを用いて高次高調波成分を抽出することにより,従来の20MHzバースト波送信により可視化できなかった,長さ2mm程度の疲労き裂先端塑性域を可視化することに成功した.また数ないし数十ナノメートルの極く狭い隙間を持つガラス板中の閉口き裂も高調波を用いて可視化できることが分かった. 昨年度導入した,水浸超音波画像化のポスト処理ソフトウエア「Insight Analysis」を用いると,画像化時に収録した全受信波形に,ハイパス,ローパス,バンドパスフィルタ処理,2値化処理などを施した後平面及び断面画像を再構成することが可能となった.また改良されたソフトウエアを用いることで,デジタルバンドパスフィルタを使用してほぼリアルタイムで,所望の次数の高調波画像化が得られるようになった.これらのデジタル画像処理を用いることで,昨年度までの材料内部の損傷の高調波画像より,SN比の高い画像化が可能となった.デジタルバンドパスフィルタを2次,3次あるいはそれより高次の高調波に設定して各次数の高調波像を作成することで,損傷の種類識別が容易になると期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9 の研究実績の概要に記載のように,100MHz域バースト波送信器を用いて,微小疲労き裂先端部の塑性域を共振高調波法により世界で初めて可視化できた.高調波で可視化された散乱源種類の識別については,介在物,マイクロボイド集団,偏析などを含むサンプルについて,波形及び周波数解析を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
1 高調波で可視化された散乱源の種類識別法の構築:大きさ・形状・方位が既知の介在物,マイクロクラック,マイクロボイドなどを包含する試験片を用いて,欠陥種類毎の各種超音波特徴量を測定し,定量化する. 2 非線形波動シミュレーションによる数値実験:上記1 により製作できる試験片は限られるので,研究協力者名古屋工業大学伊藤智啓准教授の支援を受けて,非線形波動シミュレーションにより大きさ・形状・方位が異なる介在物,マイクロクラック,マイクロボイドなどを含む仮想試験体の高調波伝搬を解析し,各種超音波特徴量の違いを明らかにする
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