2013 Fiscal Year Research-status Report
3次元工具振動を利用した研磨システムのためのNCコードおよび制御プログラムの開発
Project/Area Number |
24560122
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
水野 雅裕 岩手大学, 工学部, 教授 (40239249)
|
Keywords | 研磨 / 金型 / 3次元工具振動 / NCコード / 放電加工面 |
Research Abstract |
放電加工で形彫りした金型をそのまま金型として使用すると金型寿命が短くなる.また,金型表面の粗いトポグラフィは,成型品の表面粗さを大きくすると同時に型離れ不良の原因となる.したがって,研磨加工による加工変質層の除去と表面粗さの向上が必要である.放電加工で加工された小形金型の研磨には一般にハンドラッピングが適用される.しかし,ハンドラッピングには高度な技能と膨大な作業時間が必要であり,金型製作におけるコスト低減と納期短縮の大きな障害となっている.こうした背景から,金型研磨の自動化が切望されている.金型研磨の自動化の実現のため,本研究実施者は,工具に様々な形態の3次元振動を与えることができる3次元工具振動システムを開発した.このシステムを用いる場合,これまでは研磨対象の金型ごとに複雑な研磨プログラムを作成する必要があった. 本研究では,開発した3次元工具振動システムの運用を容易にするために,汎用性の高い研磨用NCコードの開発と制御プログラムの開発を行うことを最大の目的にしている.また,ツールパスが被研磨領域の粗さやうねりに与える影響について明らかにする.平成25年度の研究実績の概要は以下のとおりである. 平成24年度にNCコードで動作する研磨装置制御プログラムを作成した.それを用いて水平の矩形領域を対象とした研磨実験と,傾斜した矩形領域を対象とした研磨実験を行い,ツールパスの違いが研磨効率や形状精度に与える影響を調べた.その結果,ピックフィードの大小によって研磨効率が大きく異なることが明らかになった.具体的には,X軸方向に工具をスキャンし,研磨領域の両端でY軸方向にピックフィードを与えるようなツールパスで研磨を行った場合,ピックフィードが工具のY軸方向の幅よりも小さいときに研磨効率が高くなることが明らかになった.これは,ツールパスを決定する上で極めて重要な知見であると考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,平成24年度に作成した平面の領域を研磨するためのNCコードと制御プログラムを用いて研磨実験を行った.水平面(XY平面)の研磨においては, XY平面に平行なツールパス,Z方向の研磨力,振動形態をNCコードで設定した.設定したツールパスはXY平面に平行であるが,Z方向に研磨力を与えるため,研磨工具は研磨中にZ方向にも移動する.数種類のツールパスで研磨実験を行った結果,ツールパスによって研磨効率に大きな差異がみられた.この実験結果は高い研磨効率で研磨を行うためのツールパスの決定に関する重要な知見を与えている.以上のことから概ね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,Z軸に平行な中心軸を持つ円筒内面を研磨するためのNCコードの作成と制御プログラムの作成を行う.NCコードで与えるツールパスは,工具の半径分だけ被研磨面からオフセットさせたものとする.研磨力は被研磨面の法線方向に一致するように与えるので研磨工具の移動とともに変化させる.また,振動形態も被研磨面にあわせて連続的に変化させる必要がある.現在の研磨装置では振動形態を連続的に滑らかに変化させることができないので,振動発生装置の電気回路を変更する必要がある.以上の準備ができ次第,円筒内面の研磨実験を行い,研磨条件が研磨結果に与える影響を調べる.
|