2013 Fiscal Year Research-status Report
縮小成形機構を有するタンデム型微細放電加工法の開発
Project/Area Number |
24560123
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
谷 貴幸 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (80279554)
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Keywords | 放電加工 / 微細加工 / 多角形穴加工 / 亜鉛合金 |
Research Abstract |
本実験では,電極の成形加工と微細穴加工とを同時に実行するために,2つの電源構成を持つ加工機の製作が必要となる。予備実験として,単独の電源により行った結果,比較的長いパルスの条件において,成形プレートがほとんど消耗せずに,亜鉛合金の微細軸が成形されることが明らかとなった。このことから,軸成形側はトランジスタ放電回路の構成が好ましい。一方の微細穴加工側は短パルス放電が有効であり,容易に短パルス放電が実現するRC回路において良好な加工特性を示した。また,電極に対して成形プレート側,穴加工側がともに陽極の場合において,加工特性も高く,その加工状態も安定したことから,電極を両電源のグランドとしてそれぞれの回路を構成した。主軸の制御は,比較回路を通して両電源における極間電圧の小さい方の値を制御信号として取り出し,これを基準電圧と比較するプログラムとした。これによって,軸成形,穴加工のいずれかの加工において短絡が発生しても電極を上方に回避させることが可能となった。 また,構成した加工機によって同時加工を実施した。あらかじめ多角形の穴形状を付与した成形プレートに円揺動を与える縮小機構を用いて,多角形形状の電極を機上で成形することが可能であった。なお,円揺動を与ることによって極間において常に解放空間となる部分が生じ,これが順次移動するため,加工屑が効率的に排出され加工は極めて安定した。さらに,機上で成形されながら繰り出された電極によって,そのまま薄板プレートに微細穴加工が可能であることを確認した。この場合,亜鉛合金電極では,プレート加工の際に電極の消耗がかなり大きくなることが明らかとなり,これを抑えるための電気条件を選定した。特に,電極消耗は電極面積に依存したことから,より微細化を目指すために今後は電極材料を含めた検討も実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に用いる装置の製作とその動作確認は順調に行えた。また,実際に2つの電源を用いた同時加工にも成功し,今後は連続的な加工へと発展させる段階にきている。各種材料への適用あるいは加工精度といった面ではもう少し検証を行う必要があるが,全体としては順調に研究が進んだと思われる。また,研究の展開として,気中放電による表面改質も実施した。走査放電による部分的な表面改質の可能性も示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
制作したタンデム型放電加工機による微細加工を引き続き実行し,その加工特性を詳細に検討する。その上で,連続的な微細穴加工を実施する。多数穴の加工を目標とするため,加工はすべて自動化する方向で検討する。まずは,一つの穴加工において貫通状態を判断する。加工物の下部にダミーワークを設置し,ここに流れる放電電流によって貫通を判断する。放電電流は,カンター回路によって計測し,任意の放電数に達した時点で,自動的に次の穴加工へと移行するプログラムを組み込む。この場合,ノイズによって誤作動を生じる可能性があるので,状況に応じて検出する放電数,フィルターの付与,プルアップ回路によるパルス抽出を検討する。 さらなる微細化の検討として,電極材料を変更し,その材料に適応した電気条件を検討する。この際の微細形状の計測には機上での画像処理を検討する。また,電気条件からのアプローチとして抵抗体成形プレートの適用を試みる。形成プレートを抵抗体とすれば,これが充電抵抗に相当し,極限まで浮遊容量を減らせる可能性がある。プレート材料にはドープ量を変化させたシリコン,グラファイト,SiCの適用を検討し,その効果を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は装置の構成を中心に実施した。よって,24年度に購入した部品等を使うことが多く,その構成の組み合わせの思考錯誤によって加工機の性能の向上を図った。このため主に物品費の支出を抑えることができ,次年度使用額が生じた。 25年度の研究成果により装置の構成はほぼ完成に近い形となった。26年度は,様々な材料への適用の可能性を探るとともに,繰り返し実験などによって加工精度を検討する必要がある。よって26年度請求分と合わせて,材料費を中心として多くの消耗品等を購入する予定である。
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