2013 Fiscal Year Research-status Report
固体イオン交換法によるガラス中への金属微粒子分散過程の解明とレーザ加工への応用
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24560125
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松坂 壮太 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30334171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 昇 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30239660)
比田井 洋史 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60313334)
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Keywords | ガラス / イオン交換 / マイクロ加工 / レーザ加工 |
Research Abstract |
平成25年度は,主に以下の3つの項目について研究を実施した. [1] 金属イオンから微粒子への成長過程の解明:前年度に引き続き,電圧印加によって金属添加を行った試料に対して,熱処理条件,冷却条件を様々に変化させて,ガラス内部の微粒子の存在形態に対する影響を調査した.その結果,電圧印加後の温度履歴は,微粒子個々の形態にはほとんど影響しないことが明らかとなった.一方,熱処理によって複数の微粒子が凝集し,ガラス内部に不均一な組織を形成することが分かった.銀添加ガラスにおいて,この熱処理による微粒子の凝集現象を利用することによって,紫外域での光吸収率を向上させることが可能となった. [2] 熱処理後の金属添加ガラスのレーザ加工特性の検討:上記[1]で作製した熱処理後のガラス試料に対して紫外線ナノ秒レーザを用いた加工実験を行い,処理前の金属添加ガラスと同等の優れた加工特性を有することを確認した. [3] 逆電圧印加による金属添加ガラスの反り低減:金属添加ガラスでは添加面を凸とした若干の反りを示すことが明らかとなったため,金属添加後に電場の方向を逆転させることによって,両面からの添加と反りの低減を試みた.その結果,添加前のガラスとほぼ同程度まで反りを低減することが可能となった.一方,逆電圧印加後のガラス内部には,微粒子が過剰に凝集したと思われる析出層が認められたため,その形成メカニズムの検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱処理による個々の金属微粒子の形態制御には至っていないものの,複数の微粒子の凝集現象を利用することで,光学特性を変化させることが可能となったため,当初の目標であった「紫外域での高い吸収率と可視域での高い透明性の両立」は,熱処理条件の最適化により達成可能と思われるため.また,反り低減を目的とした実験の中から,微粒子の過剰な凝集という興味深い現象が発見され,光学特性制御に別観点からのアプローチが可能となったため.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の方針に沿って研究を実施する. [1] 新規な金属種,複数の金属種を添加したガラスの作製:銀・銅以外の単体金属や,銀・銅を含有する各種合金からの金属添加を試み,ガラス内部へ導入可能な金属種を明確化する.また,これらの金属添加を行った場合の添加深さを推定可能な数値解析手法を確立する. [2] 逆電圧を印加した場合の微粒子の凝集メカニズムの解明:添加金属種や添加条件を変化させることによって,凝集の程度や位置の制御方法を確立する.また析出層の工学的応用の可能性についても検討を行う.
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Research Products
(5 results)