2014 Fiscal Year Research-status Report
炭素繊維強化複合材料と耐熱超合金の金属中間層を用いた高品位異材接合
Project/Area Number |
24560126
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池庄司 敏孝 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40302939)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 複合材料 / 耐熱超合金 / 接合 / 熱膨張係数 / 残留応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
C/C複合材/Ni基耐熱超合金異材間ろう付用ろう材としてNi-Cr-Nb-Si系合金をアーク溶解炉で試作した.DTA試験によおり融点は1098-1127℃と測定した.EDX分析,ビッカース硬さ試験,C/C複合材と超合金に対する濡れ広がり試験を行い,異材間ろう付用ろう材としての適応性を検討した.その結果,C/C複合材,Ni基耐熱超合金の双方にぬれを生じ,かつ,界面の密着性が高いことが示された.しかし,C/C複合材/Ni基耐熱超合金継手としては高強度を示さなかった.これはC/C複合材とNi基耐熱超合金のCTE値の差が大きいため,接合後に残留応力が生じるためであると考えられる. C/C複合材は熱膨張係数(CTE)値がNi基超合金と比較して著しく低い.このCTE値の差異により接合後に大きな残留応力が生じる.残留応力を緩和するためにCu,Nbを中間層として挿入した.100~500µmのCuを挿入することにより接合継手は形成されるが,継手強度としては不十分だった.FEM解析により必要なCu中間層厚さ,ろう層厚さを試算したところ,中間層厚さ3mm以上,ろう層厚さ1mm以上となった.また,Nb箔を中間層として用いた場合には同様に100~500µmで接合継手が形成され,200μm程度でせん断強度10MPa程度となった.界面の材料組織をSEM/EPMAで解析したところNb中間層はろう材に溶解され当初の中間層厚さよりも薄くなっていた.そのためろう層厚さが厚くなり,かつ,ろう層はNi系合金であるためCTE値が高く,接合後に残留応力を生じさせていると考えられた. そこで,ろう層のCTE値を提言するために炭素短繊維をろう材にあらかじめ混合することを試みた.結果として,炭素短繊維は界面に均質に混合されず,また,大部分が界面外に排出されることがSEMによる界面の組織観察で判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炭素繊維強化複合材(C/C複合材)と耐熱超合金を接合する金属中間層の組成を試作した金属中間層材の熱機械的性質の測定とC/C複合材とNi基耐熱超合金へのぬれ広がり試験により検討していたが,Ni-Cr-Nb-Si系合金ではNb,Siの組成でNbを多めにするかSiを多めにするかの複数の選択肢が生れた.そのため,粉末作製を依頼する最終的な金属中間層組成の更なる検討が必要となった. また,金属中間層として,所謂,ろう材としてのNi-Cr-Nb-Si系合金の開発そのものよりも,C/C複合材とNi基複合材のCTE値差による残留応力が接合継手の強度に影響すると考えられる.そこで,軟質な金属中間層の挿入や炭素短繊維混合によるろう材のCTE値調整を試みた.結果として金属中間層の挿入が簡便で効果があると思われるが,実用的な継手強度を達成していない. 粉末作成が行われていない点,継手強度の不足のため,(3)やや遅れているという評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
C/C複合材/Ni基耐熱超合金異材間ろう付用ろう材としてNi-Cr-Nb-Si系合金の粉末を作成し,C/C複合材とNi基耐熱超合金の接合し,より高強度の接合継手を得ることを試みる.その際に,Cu中間層,Nb中間層の挿入の効果を中間層の厚み,Ni-Cr-Nb-Si系合金層の厚みによる影響を明らかにする. 一方,C/C複合材と金属のCTE値の差による残留応力が接合継手の強度を弱めていることを確かめるために,CTE値が高いAl合金とC/C複合材の接合を試みる.Al-Siろうを用いることによりNi基耐熱超合金との接合と比較して低温での接合になるので,発生する残留応力は小さいと予測される.C/C複合材/Ni基耐熱超合金接合とC/C複合材/Al合金接合の金属中間層厚さを揃えて比較することで残留応力の影響を示すことができると考えられる.
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Causes of Carryover |
炭素繊維強化複合材(C/C複合材)と耐熱超合金を接合する金属中間層の組成をThermocalc数値解析と試作した金属中間層材の熱機械的性質の測定により検討していたが,組成に複数の選択肢が生れたため,粉末作製を依頼する最終的な金属中間層組成の更なる検討が必要となったため,粉末作製のための未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
金属中間材の組成についてThermocalc数値解析,金属中間材試作と熱機械的性質の測定を行い,最適な組成を決定し,粉末作製を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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Research Products
(7 results)