2013 Fiscal Year Research-status Report
輪郭制御と単純な動作軌道を用いた工作機械の省エネルギー化
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24560131
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
内山 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10273327)
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Keywords | 工作機械 / 産業機械 / 省エネルギー化 / 輪郭制御 / 位置決め制御 |
Research Abstract |
地球環境問題・資源エネルギー問題が深刻化しており,世界中の工場で昼夜を問わず利用されている工作機械においても,有効な省エネルギー化技術が望まれている。本研究では,工作機械に一般的に用いられている以下の2種類の動作モードに適した省エネルギー制御法を提案する。一つ目は所望の加工形状を実現するための輪郭制御モードであり,目標動作軌道への完全な追従を目的とする。もう一つは,加工終了後の初期位置への復帰や,工作物のローダに用いられる位置決め制御モードであり,終点位置のみが重要なため,途中の動作には単純な軌道が用いられる。双方の方法について,省エネルギー効果のみならず,運動性能も実験検証することを目的とする。 平成25年度の研究では,上記の2つの制御モードのうち,位置決め制御モードについて研究を実施した。位置決め制御では,一般に台形速度軌道やS字加減速軌道が用いられているが,本研究では,これらの動作において消費されるエネルギーを解析的に導出した。また,消費エネルギーを最小化する加減速時間など動作軌道の設定に有用な性質を導いた。さらに,市販の搬送装置に用いられている同期モータをアクチュエータとする機械駆動系制御実験装置において有効性を検証し,上記の理論的性質と実験結果の整合を確認した。電力計により実際に消費電力を計測した結果,本研究で導出した最適な加減速時間を用いることにより,消費電力量が20%以上低減できる場合があることが分かり,現在は工作機械駆動系への応用を検討している。また,本研究で導出した消費エネルギーが最小となる加減速時間で駆動した場合に,残留振動振幅が増大する可能性がある。本研究では,残留振動を抑制する動作軌道が複数存在することを利用し,この中から消費エネルギーが最も小さい軌道を選択する手法についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機械駆動系の位置決め制御では,一般に台形速度軌道やS字加減速軌道が用いられているが,本研究では,これらの動作において消費されるエネルギーおよび諸性質を解析的に導出し,実験的に有効性を確認した。電力計により実際に消費電力を計測した結果,本研究で導出した最適な加減速時間を用いることにより,消費電力量が20%以上低減できる場合があることを確認した。また,実際の装置への応用の際に問題となる残留振動抑制についても考察を行い,これを抑制しつつ消費エネルギーを低減する方法についても検討を行った。残留振動抑制については,H26年度の実際の装置への応用の際に検討する予定のものであったが,H25年度中に開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
産業機械・工作機械装置は世界中の工場において昼夜を問わず利用されており,有効な省エネルギー技術が望まれているが,ハードウェアの変更を必要とする方法では,現在使用されている機械装置への応用は困難である。本研究の最終目的はソフトウェアのみの変更により大きな省エネルギー効果を達成し,現在使用されている多くの産業機械への応用を実現,地球環境問題・資源エネルギー問題に貢献することである。したがって,H26年度は,はじめに,加工終了時の初期位置への復帰動作や,ローダに利用される位置決め制御モードのための省エネルギー制御法を実際の産業機械,工作機械に応用し,省エネルギー効果を検証する。つぎに,H24年度に研究を行った輪郭制御法を装置に応用し,省エネルギー効果と共に,運動性能への影響を検証する。これらの実際の装置への応用を通じて,実用化の際の問題点を明らかにし,解決策を検討する。また,前年度までの研究成果を主要な国際会議で公表,意見収集し,制御法の改善をはかる。改善案について,理論構築とシミュレーションを実施する。本研究を推進する方策として,学生数名を研究補助として雇用し,実際の産業機械,工作機械での実験を効率的に実施する。シミュレーションについても研究補助者を雇用し,プログラムの作成,データ整理を依頼する。プログラム作成の一部については,実験と並行して進めるものとする。理論の有効性が予想された後,再度,研究補助者を雇用し,実験を実施,データ整理を行い,有効性を検証する。
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Research Products
(7 results)