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2013 Fiscal Year Research-status Report

加工限界のひずみ履歴・材料組織依存性評価のためのミクロ数理損傷モデルの構築

Research Project

Project/Area Number 24560132
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

大畑 充  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20294027)

Keywords福相組織鋼材 / 不均質組織 / 延性破壊限界 / ひずみ履歴 / 数理損傷モデル / バウシンガー特性
Research Abstract

前年度までに,不均質組織鋼であるフェライト-パーライト二相組織鋼材を対象として,延性損傷限界に及ぼすひずみ履歴依存性と組織形態の関係を解明するための実験・観察を行った。これにより,破断するまで一軸引張負荷を与える場合に比べて,途中で負荷方向を90°変化させた場合の方が延性が向上し,またその程度は,パーライト分率が大きい材料の方が顕著であることを見いだした。これは,硬さが異なる二相組織の分率に応じて,フェライト境界部での損傷進展挙動が異なり,さらに,ひずみ履歴が変化した際にその蓄積挙動が変化することが主たる要因の一つであることが示唆された。
本年度は,これらの現象を定量的に予測するための手法を構築することを目的として,ひずみや応力の局在化挙動を再現するための数値解析モデルの構築と,ひずみ履歴に応じた損傷進展をシミュレート可能な数理損傷モデルの提案を試みた。数値解析モデルとしては,ボロノイ法を利用して実材料不均質組織形態を再現可能な三次元不均質組織形態モデル化手法の提案とプログラミングを完了させた。また,数理損傷モデルとしては,過去の提案した数理損傷モデルに,バウシンガー特性の力学的特性と材料学的特性を導入することで,ひずみ履歴変化に伴う材料強度と損傷の発展をシミュレートする新数理損傷モデルを提案し,プログラミングを完了させた。提案した解析モデルと数理損傷モデルを併用することで,フェライト-パーライト二相組織鋼材の延性損傷限界とそのひずみ履歴依存性を予測する準備が整った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

不均質組織鋼であるフェライト-パーライト二相組織鋼材の延性破壊限界に及ぼすひずみ履歴依存性と組織形態の関係を予測するためには,不均質組織に依存した微視的な損傷進展挙動を再現するシミュレーション手法の構築が不可欠と考えられる。そこで,ひずみや応力の局在化挙動を再現するための数値解析モデルの構築を試み,ボロノイ法を利用して実材料不均質組織形態を再現可能な三次元不均質組織形態モデル化手法の提案とプログラミングを完了させた。また,ひずみ履歴に応じた損傷進展をシミュレート可能な数理損傷モデルの提案を試み,過去の提案した数理損傷モデルにバウシンガー特性の力学的特性と材料学的特性を導入することで,ひずみ履歴変化に伴う材料強度と損傷の発展をシミュレートする新数理損傷モデルを提案し,プログラミングを完了させた。これにより,昨年度までの実験で現象を捉えた,フェライト-パーライト二相組織鋼材の延性損傷限界とそのひずみ履歴依存性を予測する準備が整い,当初の年度目的を達成することができた。しかし,本手法により定量的に延性損傷限界を予測するためには,特殊な材料特性を取得する必要性が見いだされた。そのための特殊試験機の製作を進めているが,特性取得のためには次年度の継続研究が必要となる。

Strategy for Future Research Activity

提案した三次元不均質組織形態モデルと,バウシンガー特性を加味した数理延性損傷モデルを併用することで,フェライト-パーライト二相組織鋼材の延性損傷限界とそのひずみ履歴依存性の予測シミュレーションを実施する。そのためには,二相組織を構成するフェライト相およびパーライト相の機械的特性を取得する必要があるが,昨年度までの実験・観察から,低応力多軸状態下での延性を取得する必要性が見いだされた。そこで,高静水圧下で引張試験を実施するために設計した特殊試験装置を完成させ,主として硬質パーライト相の低応力多軸状態下での引張り破断特性を取得する。これらの材料特性を全て取得した後に,提案手法を用いて数値シミュレーションを実施し,昨年度までの実験結果と比較して,延性損傷限界に及ぼすひずみ履歴の影響と,その第二相組織分率依存性の再現性について検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

前年度の実験,観察により,二相組織材の延性損傷限界とそのひずみ履歴依存性には,高い応力多軸度下での軟質フェライト相の損傷挙動のみならず,低い応力多軸度下での硬質パーライトの損傷挙動が重要な役割を果たすことが,新たな知見として得られた。そこで,本年度より備品購入計画を変更し,低応力多軸度下での延性損傷限界を評価する新しい実験・観察装置の開発を行ってきたが,装置の完成までには次年度の前半ごろまで改良検討を実施する必要があることから当該助成金が生じた。
主として,低応力多軸度下での延性損傷限界を評価する実験・観察装置の開発費に充当する。また,国内外の学会での成果発表や,論文投稿に予算を執行する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 組織不均質を考慮した三次元延性損傷シミュレーション法 -複相組織材料の延性予測-2013

    • Author(s)
      大畑 充,庄司博人,南二三吉
    • Journal Title

      鉄と鋼

      Volume: Vol.99, No. 9 Pages: 573-581

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 二相組織鋼の強度・延性に及ぼす組織性状の影響

    • Author(s)
      庄司 博人,大畑 充,南 二三吉
    • Organizer
      (一社)溶接学会
    • Place of Presentation
      岡山理科大学

URL: 

Published: 2015-05-28  

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