2013 Fiscal Year Research-status Report
展開ブランクを用いた気密性を有する深い角筒容器の成形
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24560134
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
畑中 伸夫 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (70413846)
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Keywords | 絞り加工 / 摩擦攪拌接合 / 展開ブランク |
Research Abstract |
本研究の目的は,二つの技術的要素の複合による新しい加工法の開発である.すなわち,①「展開ブランク」を容器状に深絞り加工する成形技術と②展開ブランクの隣接フランジ部を摩擦攪拌接合する技術である.しかし,個々の技術分野に未解決・不明な課題があるため.個別な課題を明らかにしたのち,複合加工の開発を行う必要がある. 初年度(2012年度)は,①に関して金型を設計・製作した.今年度(2013年度)の課題は,実際に絞り加工を行い材料の挙動を詳細に観察することであった.②に関しては初年度(2012年度)に使用する材料,ツール形状,接合条件についての検討を行い,今年度(2013年度)は接合特性を明らかにすることであった. 今年度の実績概要は,①に関しては絞り加工を各種のブランク形状について実施し,成形技術を確立させるとともに,課題であった隣接フランジの接触開始点の移動について明らかにした.また,当初の計画にはなかったが弾塑性有限要素法解析を行い,実験結果との比較・検討を実施した.②に関しては,当初予定していた材料A5052-Oに加え,A5052-H34材についても接合実験を行い,接合強度等を比較検討することにより,当初の予定より広い研究成果を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.展開ブランクの深絞り加工における成形性および材料流動,隣接フランジの接触開始点については,当初の計画通りに進んでいる.特に,有限要素法シミュレーションにより接触開始点の移動を解析することができた成果は,予定以上である. 2.摩擦攪拌接合について,当初の計画では本研究に使用するA5052-O材のみの接合特性を調査する予定であったが,調質の異なるA5052-H34材についても接合実験を行い結果を比較検討することにより,当初の予定より多くの成果を得ることができた.この研究成果については,軽金属学会第125回秋期講演会において講演した。その後,同内容について、軽金属溶接学会から執筆依頼されている.これは,学会において一定の評価を受けていることを示している.
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に記述したように,本研究を推進する二つの基礎技術について,個別には一定の成果を得ることができた.2014年度は最終年度であり,これらの技術を組み合わせて当初の目的である,絞り加工と接合加工を同時に行う複合加工に取り組む.角筒容器の成形であることから,接合するべき個所は4か所あるが,当初は,1か所の接合を実施する.この接合により,個別な基礎技術の段階では明らかにならなかった課題について検討を行う. 特に,加工の進行に伴って、隣接するフランジが接触を開始する点Cが移動する.摩擦攪拌接合は、接触している材料の間に回転ツールを回転させながら挿入し、材料を攪拌・塑性流動することにより接合する。材料間の隙間は、継手間隙またはギャップと呼ばれており、存在しないことが原則である。これを実現するために、回転ツールは、移動後の点Cよりもダイスコーナ側に配置する必要がある。一方、材料は移動後の点Cで隣接するフランジと接触後、絞り変形を受けつつ、ダイス穴内に流入する。そのため、摩擦攪拌は、絞り変形を受けている材料内で行われることになり、ピン部には大きなせん断荷重およびねじり荷重が作用する。安定して隙間を生じず、そして、過大な圧縮応力の作用しない加工点を明らかにする。また、厳しい条件のもとでの摩擦攪拌となることから,工具材料の再検討が必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が出た理由は、研究の遅延や研究計画からの欠落ではなく、実験によって明らかにする予定であった材料の変形挙動について、実験を最小限に抑え、コンピューターシミュレーション(有限要素法:FEM)によって解明することができたためである。 実験を必要最小限とし、可能な限りコンピューターシミュレーションにより補うことは、現在における研究手法として一般的であり、本研究においても同様な成果を得ることができた。 次年度使用額85,110円は,物品費に充て,他の旅費および人件費・謝金,その他について変更はない. 次年度の研究費費目別内訳中,物品費については主として実験装置の新規作製に充当する.旅費は,日本塑性加工学会春季講演会(3泊4日・つくば市),軽金属学会秋季講演会(2泊3日・東京都)への参加旅費、実験装置を借用して実験を行う際の交通費・宿泊費に充当する.その他については,実験材料および実験に必要な消耗品等に充当する.
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Research Products
(7 results)