2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24560138
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本村 文孝 長崎大学, 工学研究科, 助教 (40274625)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザスクライブ / 貼り合わせ強化ガラス / 有限要素法 / レーザアブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
貼り合わせ強化ガラスのレーザスクライブ割断による加工条件の最適化およびスクライブ速度などの加工効率の向上に寄与するために本研究を遂行した。通常のガラスと異なり、ガラス表面に圧縮層を有することに加えて、面内変形に拘束を受けるガラスにスクライブ(表面き裂)を生成する際に期待されるスクライブ速度を予測ために、破壊力学に基づく応力拡大係数を評価パラメータとする有限要素解析は有効な評価手法である。市販の化学強化ガラスのスクライブ実験から得られたスクライブ速度とスクライブ深さの関係と同等の解析結果を得ることができ、最適な加工条件を効率的に構築することを実現した。この数値解析による学術的な知見として、生成可能なスクライブ深さは板厚に寄らず、スクライブ速度の上昇に伴う貫通き裂から表面き裂への遷移は連続的に起こりうることが示唆された。 また実験的には、十分な初期傷深さの確保が化学強化ガラスの安定したレーザスクライブ割断には不可欠となる。今後期待される0.1㎜以下の板厚を有する極薄なガラスに対しても十分な初期傷の深さを確保するための加工法として、接触式のガラスカットに替わる非接触かつ非熱過程のレーザアブレーション加工が挙げられる。レーザアブレーション加工に対して、数値シミュレーションに基づくクレータ深さの定量的な解析手法を確立し、超短パルスレーザによるアブレーション実験との良い一致を得た。 レーザ加工技術はレーザスクライブによるガラスを代表とする脆性材料の分断加工からレーザアブレーションによる超微細加工へシフトしており、加工原理の異なる種々のレーザ加工法に対する解析的なアプローチは今後益々重要になるものと考える。
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