2012 Fiscal Year Research-status Report
機上レーザ焼入れシステムを用いた複雑形状極小刃物の高精度化に関する研究
Project/Area Number |
24560141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
小川 圭二 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (80405232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 平三郎 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (50033345)
田邉 裕貴 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (00275174)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザ / 焼入れ / 高精度 |
Research Abstract |
本研究課題では,複雑形状を有する極小刃物に対して均一な高硬度分布と刃先形状を高精度かつ低環境負荷で実現するプロセスを実現することを目的としている.平成24年度は,複雑形状を有する極小刃物のレーザ焼入れ条件の探索を行った.刃物稜線が直線-円弧-直線で,円弧部の半径が異なる刃物に対して,その稜線に沿ってレーザが一定速度で走査する指令を工作機械に対して行ったが,半径が小さい場合に十分な焼入れ硬化層が得られなかった.そこで,工作機械の運動精度を計測したところ,指令半径と指令送り速度によって,運動誤差が生じていることが明らかになった.すなわち,半径が小さい場合には円弧の内側をレーザが走査すること,また円弧の入口でレーザの実走査速度が減速し,出口で加速するため,入熱量が不均一になることが原因であることを明らかになった.そこで,本結果に基づいて指令半径と指令送り速度を適正にコントロールすることで,刃先の溶融がなく鋭利な刃先形状を維持したままで十分な焼入れ硬化層が得られることを明らかにした.本実験と並行して有限要素解析を用いて,レーザ照射による工作物の温度履歴をシミュレーションした.レーザ照射条件(レーザ出力,スポット径,走査速度)と刃先形状(刃先稜線コーナR)が温度履歴に及ぼす影響をシミュレーションして,焼入れに必要な条件の組合せを探索した.本結果は上記の実験結果とも整合しており,温度解析シミュレーションの妥当性を検証することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,複雑形状を有する極小刃物に対して均一な高硬度分布と刃先形状を高精度かつ低環境負荷で実現するプロセスを実現することを最終目的としている.平成24年度は機上レーザ熱処理機能を有する多機能工作機械システムを用いて,工作機械の運動精度に基づいてレーザ照射条件および移動指令を最適化することを目的にしていたが,工作機械の運動精度の測定,ならびに温度履歴シミュレーション結果に基づくレーザ照射条件および移動指令の適正化により,刃先稜線が円弧を含む複雑形状でも良好に焼入れされた極小刃物が得られ,当初の目的を達成できた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,平成25年度も実施計画通りに研究を推進する.具体的には,「レーザを用いたプレ部分焼入れ法による刃物製造プロセスの有効性の実証」と「機上レーザ熱処理システムの環境負荷の定量評価」を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進めていく.切断試験機の納品が遅れ,これに使用する鋼材等で平成24年度の研究費に未使用額が生じたが,次年度に予算執行するため,今年度行う予定の研究計画と併せて実施する.
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Research Products
(2 results)