2012 Fiscal Year Research-status Report
エイエフエムナノ加工による研磨加工素過程のシミュレーション実験に関する研究
Project/Area Number |
24560143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
松井 伸介 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (50612769)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | AFM / 研磨 / 加工変質層 / ダイヤモンド / 硬脆材料 |
Research Abstract |
・液中で光コネクタフェルールに設置された光ファイバ端面にAFMによるスクラッチ加工することを実現した。また、加工の前後でこの光コネクタフェルール端面の反射減衰量を測定し、加工ダメージの評価も行えることを確認できた。これは、AFMのチューブスキャナの上部を改造することによって可能となった。 ・触針材質としては、ダイヤモンド、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化セリウムの触針を用意した。これらの触針の先端曲率は0.1~0.2µmであるが,ダイヤモンド製の触針については、先端曲率0.5µmおよび1µmも準備した。まず、これらのダイヤモンド触針を用いて、基本的な加工特性について調べた。その結果、スクラッチ荷重が大きいほど,加工深さが深く、加工ダメージによる光反射量も多いことを確認できた。基本的な加工特性と改造した実験装置について砥粒加工学会へ報告した。 ・ダイヤモンド触針を用い液のpHを変化させる実験では、pHをアルカリに変化させると同じ加工荷重でも加工量が大きくなることを確認した。さらに,このとき反射量も大きくなり加工ダメージは加工荷重(加工エネルギ)ではなく,加工による材料の変形量が決めるということを見いだした。一方アルミナ触針では、pH7では加工しないもののpHをアルカリにすると加工されることを確認した。また、このとき加工量がダイヤモンドとほぼ同じでも,反射光量はダイヤモンド触針の場合より小さくなり、異なるダメージの形成の可能性を示唆した。これについては現在追加試験で確認中である。これらの結果は、加工ダメージの生成とそのメカニズムに対する新しい知見となり、さらに検証実験をして公表する。 ・比較のために通常の基板をスラリーで研磨する検討も行った。アルミナ基板をシリカ砥粒で加工した結果、触針による結果と合致することを実験的に確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AFMによる加工を可能とする装置関連の準備は、想定より多くの時間がかかった。しかし、改造した装置により、加工・評価を可能とでき基本データを取得しそれをもとに学会報告を行った。また、ダイヤモンド、アルミナ触針を用いたアルカリ雰囲気中での加工とその加工変質評価によって加工の素過程に関する新しい結果が得られた。また、今後必要な実験の検証の準備も行った。さらに、平行して基板を用いたスラリーによる加工との比較検討も進めた。この反面、触針先端の精密な測定、および、シミュレーションの導入に関しては若干遅れている。しかし、追加実験が必要なため研究実績には含めなかったが、新たに一度ダイヤモンドスクラッチ加工をした加工面をシリカ触針によって加工することにより反射光量を小さくすることの可能性を確認できた。これは、ダイヤモンドによる粗加工をシリカ触針によって仕上げ研磨することに相当する。以上により何とかおおむね順調という判断ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
・アルカリ雰囲気中でのスクラッチ加工とその加工変質層についてダイヤモンド、アルミナ(ここまでは検証実験)、シリカ、ジルコニア、セリアの触針材料について実験を行う。また、触針先端の測定精度をさらに向上させ触針摩耗を計測する。これによりダイヤモンド触針の摩耗の評価を、シリカ基板、銅基板、ニッケル基板、鉄基板を加工することによって行う。この実験はダイヤモンドのこれら基板材料の砥粒による化学的・機械的研磨加工の基礎データとなる。 ・触針に関しては、それぞれの材料の純度、成分、結晶性、結晶方位について再度検討し、必要に応じ改良する。また、触針材料として新たにSiC、GaNを採用した触針を作製する。また、他の機械的・化学的効果の期待できる材料(例えば、シリカ基板に対する電解マンガン砥粒あるいは、シリコン基板に対する炭酸カルシウム等)についても触針材料として検討する。そして作製した触針を用いて、様々な材料を加工することによって研磨における機械的・化学的効果の総合的な評価・検討を行う。 ・AFM触針を用いた仕上げ加工について検討する。すなわち、ダイヤモンド砥粒で研磨した光コネクタ端面。あるいはダイヤモンド触針でスクラッチ加工したコネクタ端面に対し、シリカ、セリア、ジルコニアの材質の触針でスクラッチ加工をし、その際の表面形状と加工ダメージに起因する光の反射を評価する。 ・光コネクタ端面を用いた光の反射以外の加工変質層測定法について検討する。まずは、スクラッチされた微小領域に対するマイクロラマン散乱について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スクラッチ対象となる基板の購入を行う。具体的には純度良い、鉄板、ニッケル板、銅板、ニオブ板等である。 また、SiC、GaN単結晶基板を購入し、一部は触針へ加工し、一部はスクラッチ加工対象材料として用いる。触針の材質の見直しを行い改良の必要のあるものは改良する。また、実験の遂行に必要な触針につき追加で購入する。触針の観察に必要な観察記録装置の購入をする。さらに、光コネクタ、光ファイバ、光こねたくフェルール等の消耗品、サンプル準備に必要な、研磨砥粒等の消耗材の購入をする。
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