2012 Fiscal Year Research-status Report
新型磁気機能性流体を用いた難削材円管内面のナノレベル高品質加工技術の開発研究
Project/Area Number |
24560147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
西田 均 富山高等専門学校, 電気制御システム工学科, 教授 (00390435)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械工作・生産工学 / 超精密加工 / 磁性 / 流体工学 |
Research Abstract |
従来の磁気混合流体(MCF)を用いた垂直な短い円管および水平な長い円管に対する加工特性を明らかにした。工具はリング状の永久磁石を非磁性体のスペーサで挟んで同極が対向するように積層したものである。加工は工具を円管内に挿入して、回転と送りを与えて行う。本年度の成果は以下の通りである。 1. 垂直な短い円管内面に対する加工特性 (1)永久磁石の長さと直径比の影響 円管内径は加工時間とともに大きくなり、加工量は時間と比例関係に近い。また、加工表面は鏡面になる。永久磁石の長さの短い工具では真円度が向上する。(2)工具の磁束密度分布特性 磁束密度は永久磁石の外周面の中央で減少する。加工量が大きい工具は、永久磁石の外周面の中央において磁束密度とその勾配が大きい。(3)磁気クラスタの挙動(可視化) 磁気クラスタは永久磁石の外周面軸方向に形成され、中央が回転方向に対して遅れた「V字形」である。(4)MCFのせん断力と加工量の関係 せん断力と単位時間単位面積当たりの加工量は相関関係にある。 2. 水平な長い円管内面に対する加工特性 (1)長い円管内面に対するナノ加工試験装置の開発 長い円管内面に対する試験装置を設計製作した。(2)スペーサの長さと直径比の影響 軸方向に長く直径の小さいスペーサの場合(MCFの量が多い)、加工量が多く、加工可能距離も大きい。(3)工具の磁束密度分布特性 加工量が多く、加工可能距離も大きい工具の円管内面における磁束密度分布は、永久磁石端面位置とスペーサ中心位置の磁束密度絶対値の差が大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目に向けた、新型MCFの開発が遅れている。新型MCFのせん断力を測定するための粘度計の選定と購入が遅れたためである(平成25年3月26日納入)。遅れが予想されたので、前年度は円管内面加工と加工中の工具に作用するトルクを計測できる装置を製作して、新型MCF開発のためのせん断力と加工量の関係を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年計画の2年目である平成25年度は新型の磁気混合流体(MCF)を用いた垂直な短い円管および水平な長い円管に対する加工特性を明らかにする。 1. 垂直な短い円管内面に対する加工特性 (1)MCFのせん断力と加工量の関係 新型MCFの特性をせん断力で評価する。新型MCFを用いて加工特性に及ぼす永久磁石の長さと直径比の影響を明らかにする。(2)磁気クラスタの挙動(可視化) 新型MCFの磁気クラスタの特性を調べ、加工量との関係を明らかにする。 (3)磁性体スペーサによる加工特性 磁場分布の違いによる新型MCFによる加工特性を調べる。 2. 水平な長い円管内面に対する加工特性 (1)トルクと加工量の関係 従来のMCFと新型MCFを用いた場合のトルクと加工量の関係を明らかにする。(2)圧力分布の特性 従来のMCFと新型MCFを用いた場合の圧力分布の特性を調べ、加工量と磁束密度分布との関係を明らかにする。(3)磁気クラスタの挙動(可視化) 各工具において磁気クラスタがどのように形成され、砥粒がどのように保持されるか、ガラス管を用いて高速度カメラによって詳細に観察する。数値シミュレーションの検証を行う。(4)磁気クラスタと砥粒の運動シミュレーション 各種工具において磁気クラスタがどのように形成され、砥粒がどのように保持されるか、数値シミュレーションによって定性的に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品としては、粘度計と基礎実験装置(垂直円管用)に使用するACサーボモータである。なお、粘度計は平成24年度購入計画であったが、3月に納入されたため、その支払いが4月となって、次年度計画に入っている。 消耗品としては、新型MCFの粘度計で使用する解析用ソフトウェア、新型MCF作製のための磁性流体、鉄粉、砥粒、α-セルロース、合成スメクタイト(ナノ粒子)。また、工具製作のための部品材料、被加工管である。旅費等としては、学会での研究成果発表に使用する予定。また、平成24年度3月の学会での研究成果発表も支払いが4月となったため、次年度計画に入る。
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