2012 Fiscal Year Research-status Report
微量潤滑時に顕在化する凝着による摩擦増大を抑制する手法の開発
Project/Area Number |
24560155
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
桃園 聡 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70262300)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京極 啓史 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70153236)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 凝着 / 摩擦 / エラストマー / 濡れ |
Research Abstract |
近年,省資源・環境保全から潤滑油量削減や水系を含む低環境負荷潤滑剤の推奨などが求められ,一方省エネルギーから低摩擦化も強く求められている.特に潤滑能力不足から顕在化する表面間の凝着が摩擦を増大させるため,潤滑剤が微量でも凝着を抑制する手法の開発が求められている.そこで本研究課題では,応募者らが観察した摺動によって凝着界面に液体が浸入する現象を利用することで凝着を弱め摩擦力を抑制できることに着目し,そのために必要なパラメータを調べ具体的な制御手法を確立することを目的とした研究である.この目的のために,まず液体中の凝着および接触状態の観察と摩擦力の同時測定を行うことで,液体の接触部への浸入状態と摩擦特性の関係を明らかにする必要がある.そのため,初年度はそれらの測定のための準備と予備的な実験を行った. (i)単一突起での摩擦特性測定と接触部の状態・運動の観察:まず,申請者らによる既存の摩擦試験機(単一突起と平板の摩擦および接触状態観察)を変動のある実験に適した測定系となるように改造を施した.凝着エネルギーを変化させるために,エラストマーの化学修飾による表面処理,相手ガラス表面の表面処理などを行い,連続的に広範囲に液体中の凝着力を制御可能とした.その上で,エラストマーの弾性率と凝着状態を観察し,接触状態が条件によりいくつかのパターンに分類できることが判明した. (ii)凝着界面への液体の浸入状態の可視化準備:凝着界面への液体の浸入現象を確認し考察するために必須な可視化法を検討した.接触面にわずかに浸入している液体を可視化するため,表面エネルギーにそれほど影響を与えない蛍光剤(ローダミン系)を用いる方法を試したが,液体の浸入状態はある程度わかるようになるものの,蛍光剤が表面に付着する影響など考慮すべき点も残されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的なパラメータについてはまだであるが,弾性率,液体中の凝着強さ(拡張係数)などの影響について,評価するための試料の作製がおわっており,その試料を用いて接触状態の観察も行い,状態の分類を行うなど一定の成果が得られているため,おおむね順調といえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
単一突起実験においては,本年度行った実験パラメーター(各表面の表面エネルギーの制御)に加えて,新しい影響として形状や弾性率,荷重の影響を詳細に検討することが残されており,結果を整理した上で,無次元パラメータの検討を行う必要がある. また,実際に摩擦力の制御を行うためには,表面エネルギーの制御を行った,テクスチャーを施した試験片を作成し,その評価を行うことも重要である. これらの実験を行うためには,より高い荷重,広い視野の観察を行うことができる必要があるので,本年度用いることで経費の節約にもなった研究室既存の実験装置を改造あるいは,改良版の実験装置の製作を行う.また,現象の観察・測定にもとづいて理論モデルの構築を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として,約114万円を予定している.その内訳は,実験装置の製作に必要な機械部品45万円,光学部品20万円,精密部品20万円,試料製作に必要な材料費等が34万円である.本年度既存装置を使用することで効率的に予備実験が行うことができたので,その節減分を次年度装置の改良に関する物品費として活用する. 旅費として,国際会議(World Tribology Congress V Itaria Torino, 2013/9/8-13)および国内会議(トライボロジー会議2013秋福岡)を予定しているため,約53万円(45万円+80万円)を予定している. その他として,約20万円を計上する.その内訳は,学会参加登録料120,000円(国際会議100,000円,国内会議10,000円×2=20,000円),論文費用投稿料 50,000円,原稿校正料 30,000円である.
|
Research Products
(1 results)