2013 Fiscal Year Research-status Report
微量潤滑時に顕在化する凝着による摩擦増大を抑制する手法の開発
Project/Area Number |
24560155
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
桃園 聡 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70262300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京極 啓史 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70153236)
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Keywords | 凝着 / 摩擦 / エラストマー / 濡れ |
Research Abstract |
近年,省資源・環境保全から潤滑油量削減や水系を含む低環境負荷潤滑剤の推奨などが求められ,一方省エネルギーから低摩擦化も強く求められている.特に潤滑能力不足から顕在化する表面間の凝着が摩擦を増大させるため,潤滑剤が微量でも凝着を抑制する手法の開発が求められている.そこで本研究課題では,応募者らが観察した摺動によって凝着界面に液体が浸入する現象を利用することで凝着を弱め摩擦力を抑制できることに着目し,そのために必要なパラメータを調べ具体的な制御手法を確立することを目的とした研究である.この目的のために,まず液体中の凝着および接触状態の観察と摩擦力の同時測定を行うことで,液体の接触部への浸入状態と摩擦特性の関係を明らかにする必要があり、初年度はそれらの測定のための準備として、さまざまな表面エネルギーの液体中における単一球状突起のしゅう動時の接触状態を観察する予備的な実験を行った。第2年度では、その結果を踏まえて、以下について行った。 (1)単一球状突起の液体中のしゅう動実験 初年度で行った実験について、実験条件を増やし、粘度・表面エネルギーで整理を行ったところ、液体中の凝着仕事に相当する拡張係数をパラメータとして整理できる可能性が見出された。 (2)矩形突起 表面にテクスチャーを施した平板のしゅう動状態を観察可能な摩擦試験機を開発し、テクスチャーの構成単位の例として矩形ブロックのしゅう動時の変形や液体の浸入状態を観察した。入り口の形状や突起の弾性率などの影響が特に滑り出しの状態に影響することが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一球状突起や矩形ブロックへの影響など、基礎的なパターンにおける接触状態の観察とパラメータによる整理はできるようになり、摩擦特性を知るという基礎研究部分はある程度目処がたちつつあり、当初の目標にある程度近づけた。
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Strategy for Future Research Activity |
単一球状突起や矩形ブロックへの影響など、基礎的な研究成果について、定性的な取り扱いはある程度見えてきたので、より詳細・広範囲にパラメータを振り、一般的な摩擦特性を表す定量的関係(あるいは半定量化)で表すこと、およびその結果を摩擦制御方法に応用するという部分について、実験および理論両面で当初の方針に従ってまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度では、摩擦制御まで行う実験装置を完成させて、テクスチャー表面を含む摩擦特性の測定と接触状態の観察を行うことを考えていたが、まずは摩擦測定・観察のみが可能な予備実験装置を製作して実験を行うことにし、摩擦制御まで含めた実験装置は次年度の実験にて行うこととしたため、次年度使用額が生じた。 次年度では、実験装置の完成させるための物品費約145万円(本体改造部品費60万円・微小変位計40万円・試料25万円・薬品等消耗品20万円)、旅費20万円(国内、10万円x2名)、謝金10万円(実験補助10万円1000円x2人x50時間)、その他20万円(会議参加費 4万円=1万円x2名x2回、論文校正費6万円、印刷費等雑費10万円)を予定している。
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Research Products
(3 results)