2014 Fiscal Year Annual Research Report
高周速ギヤボックスの自己減圧作用による損失低減と自律的潤滑の可能性
Project/Area Number |
24560156
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北條 春夫 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (40108238)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | はすば歯車 / 風損 / 圧力差損失 / 真空 / 潤滑 / 真空ポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は歯車のねじれ角の影響を調べることを想定していたが,前年の研究で予想を超える損失の発生が確認され,これが大きな発熱をもたらした.この結果研究の目的である「風損低減」は可能であるものの,ギヤボックス内の圧力(真空に近い)と外気圧力(大気圧)の差と,歯車の歯幅,歯たけで決まる受圧面積の積と,回転速度に比例する,圧力差損失が発生し,全損失の増加が問題であることが明らかになった.なお風損が概ね回転速度の3乗に比例することから,さらに高い運転速度では風損低減効果はあると判断できた. 一方,全損失低減の立場からは,風損が小さく,且つ圧力差損失も小さいことが必要となる.このためには,ギヤボックスからの排気部を大気圧より低くすることが重要で,真空ポンプの補助的使用は必要であることが判明した.しかし,真空ポンプの能力は比較的小さなものであればよく,これによりギヤボックス内の圧力が補助的真空ポンプの能力よりも低くなることを見出し,全損失の低減に貢献することが明らかになった. また,十分に低い圧力となったギヤボックス内での潤滑について,真空環境下に封じられた油圧循環システムを構築して,潤滑が成立するかを,内部の映像により確認したところ,真空に近い環境であるので,潤滑油が歯車周囲の気体(空気)の運動の影響をほとんど受けなくなり,狙い通りの潤滑が可能であることを確認した.その上,真空下であるので潤滑油の発泡現象が著しく抑制されて,これも本提案手法の利点であることを確認した. 以上から,提案方法は,簡便な真空ポンプを補助的に用い,且つ潤滑油辞退が低圧側と高圧側とを仕切るシールの効果ももつことも利用すると,比較的ルーズなすき間をもちながら,内部圧力を概ね-0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧でき,結果として適切な潤滑を行いながら風損の低減が行えることが明らかになった.
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