2012 Fiscal Year Research-status Report
強磁性体鋼に生じる残留磁化を利用した接触面圧測定に関する基礎研究
Project/Area Number |
24560159
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大上 祐司 香川大学, 工学部, 教授 (60203709)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 逆磁歪効果 / 接触面圧センサー / 機械要素 / トライボロジー / 残留磁化 |
Research Abstract |
機械要素や金型の表面損傷の耐久性向上のために,それら表面には様々な処理が施される.表面強度を決める主要因は,材料自身の強さを除くと表面性状,油膜厚さ,接触面圧の3つである.接触面圧を実際の使用状態に近い荷重下で測定できるセンサを開発すれば,接触状態が実験的に明らかとなり,金型最適表面処理の選定や高信頼性機械要素の開発に活用できる.そこで,少なくとも0.5 GPaの実動状態に近い接触面圧を測定するために,逆磁歪効果を応用した強磁性体薄板センサによるシステムを開発することを目的とする.研究期間内に,応力磁場印加装置の製作,応力と残留磁化の定量的関係を明らかにし,接触面圧の測定基本システムを構築する. 上記目的のために,応力磁場印加装置の製作と単純引張試験において磁場を印加した場合の残留磁化の測定を行った.SUS鋼薄板試験片の逆磁歪効果による負荷応力と残留磁化の関係を明確にするため試験片に生じる応力分布の検証と応力と磁場が印加された後に試験片に生じる残留磁化の計測を行った.成果をまとめると以下のようになる.(1) 有限要素法による解析とひずみゲージによる応力測定から,本試験片を用いることで一様な引張応力状態における負荷応力と残留磁化の関係を調べることが可能であると明らかにした.(2) 応力磁場印加装置を用いて薄板試験片に応力と磁場を印加したところ、負荷応力の増加に伴い残留磁化が増加するという結果が得られた。その傾向は印加磁場,負荷応力が大きいほど顕著になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応力磁場印加装置の製作とその装置を利用した残留磁化測定について,応力磁場印加装置の製作と単純引張試験において磁場を印加した場合の残留磁化の測定を実施できた.本システムの構築のための基礎データの収集ができたため,達成度は,おおむね順調に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は,単純引張試験と一様な応力場状態での残留磁化測定について成果を得ているが,さらに複雑な応力状態を実現できる試験片として,円孔,偏心円孔,鍵穴試験片を用いた複雑な応力状態での残留磁化測定を行うことで,複雑な接触応力状態を測定するための基礎データとなる応力場と残留磁化の関係を調査することを計画している.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
円孔,偏心円孔,鍵穴試験片の製作費.および,それら試験片では複雑な応力状態となるため,残留磁化の測定においては,位置精度が求められる.そこで,ステッピングモータを利用して,残留磁化測定センサを任意の位置に移動制御するためのシステム製作費を考えている.
|
Research Products
(3 results)