2012 Fiscal Year Research-status Report
高精度圧力温度分布計測に基づくEHL油膜挙動の解明
Project/Area Number |
24560160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
西川 宏志 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40208161)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トライボロジー / 弾性流体潤滑 / 油膜厚さ / 温度 / 機械要 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
・接触圧力分布測定法の開発 干渉光を利用した圧力計測法については、圧力計測用光学干渉層を形成する膜の付着強度を上げるため、現有のスパッタリング装置を用いて成膜条件等を実験し検討したが、残念ながら接触に耐える十分な強度を得ることができなかった。そのため外部企業に依頼して成膜したものを製作し、強度がある程度大きいことを確認した。今後、最適膜構成検討、検出精度などの検討を行える段階まで到達した。光源については、単色光フィルタとLED光源を導入し、中心波長、半値幅のわずかに異なる光源として試験に使用することができるようになった。 もう一つの圧力計測手法の、単色干渉フィルタの多層干渉面を接触面に用い、圧力による干渉層の変形が透過波長をシフトさせる方法は、予備試験を行いその実現可能性を明らかにした。また、これらについては研究助成前からの着想を特許出願した。 ・赤外線温度分布測定 温度測定においては、高2次元分解能・高精度計測を可能とするため、測定された熱エネルギー分布を詳細に検討することで、より低温度上昇条件での誤差を低減するデータ処理ができるようになった。高油温条件での校正を実施する予定であったが、定温条件の問題解決を先行させたため、次年度以降に実施することとなった。 ・油膜挙動の解明 平滑面および 表面に凹凸を有する試験片を用いて、滑り、閉じ込めなど多様な条件での実験を実施し、数値解析を併用することで弾性流体潤滑下での油膜挙動のメカニズムを探った。これにより、表面に凹凸を有する場合での滑り条件下での温度上昇への影響、および表面の凹凸が衝撃荷重下で油膜形状に与える影響について成果を得ることができ、平成25年度に研究発表することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
接触圧力分布測定法の開発に関しては、現有のスパッタリング装置で研究室内での成膜では残念ながら不十分であったが、外部企業で製作でき、必要な膜が得られることとなった。これにより成膜法の問題がほぼ解決し検出精度などの次の検討を行えることになった。これに対応した波長の光源も準備できた。また、単色干渉フィルタの多層干渉面を接触面に用い、圧力による干渉層の変形が透過波長をシフトさせる方法もその実現可能性があることを明らかにした。これらの測定法は当初より、平成25年度までに確立する予定であるため予定通り進んでいるといえる。 赤外線温度分布測定については高油温条件での校正を実施する予定であったが、定温条件の問題解決を先行させたため、次年度以降に実施することとなった。この点は遅れているが、低温度上昇条件での誤差を低減するデータ処理ができるようになったことが、研究上必要な点であるため、上記の遅れをカバーできると考える。 開発と平行し、平滑面および表面に凹凸を有する試験片を用いて、滑り、閉じ込めなど多様な条件での実験を実施し、数値解析を併用することで弾性流体潤滑下での油膜挙動のメカニズムを探った。これにより表面に凹凸を有する場合での滑り条件下での温度上昇への影響、表面の凹凸が衝撃荷重下で油膜形状に与える影響について成果を得ることができ、油膜挙動を探る本研究の目的を推進した。
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Strategy for Future Research Activity |
接触圧力分布測定法の開発、温度分布計測の改良を平成25年度内に確立することを目標としてさらに研究を進めていくとともに、以下を実施する。 表面に凹凸を形成した鋼球を用いて実験を行うために、改良した試験片の作製を行う。シャープな矩形状断面は膜厚、圧力、温度測定が困難であり、数値解析上も誤差が生じやすい。そこで、ポリッシング、凹凸上へのスパッタリングなどにより、ゆるやかな断面形状にする。これにより計測誤差を抑え、また、実際の形状測定データを数値解析に利用することで実験 - 数値解析間の誤差を小さくできる。 圧力計測法・温度計測法をもとに、EHL下での高精度な実験計測が可能な総合的システムを作り上げる。これを使用して機械要素の高性能化に有用な指針を得ることを目的として、転がり、滑り、閉じ込め、表面形状など多様なEHL条件下での実験を実施し、広範囲にわたる実測データを得ることで、弾性流体潤滑下での潤滑油の挙動を明らかにする。 潤滑油挙動モデルの確立を目指し、得られた実験データを研究協力者による数値計算と比較し、潤滑油の挙動モデルをより正確なものとしていく。EHL油膜挙動に関して、本研究で得られる広範囲にわたる高分解能かつ高精度な実測データを用いることで、現在は静的高圧条件での油性状計測からの推測によっている接触域内での高圧高せん断速度下での動的油膜挙動モデルをより正確なものにできれば、数値計算による油膜挙動の予測精度を向上させることができる。 以上、多様な条件下で膜厚、圧力、温度、トラクションなどを高精度で計測し、数値計算と連携して総合的に油膜挙動を把握していく。これにより機械要素の性能向上・寿命向上のための指針を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)