2013 Fiscal Year Research-status Report
部品エージェントによるリユース経路を考慮した部品再利用
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24560165
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
平岡 弘之 中央大学, 理工学部, 教授 (20165161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原田 寛 中央大学, 理工学部, 助教 (40462676)
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Keywords | 部品リユース / ライフサイクル / 経路 / ネットワークエージェント / RFID |
Research Abstract |
(1)ライフサイクルシミュレータの開発: (a) 前年度に,選択肢ごとにそれを選択した場合に生じうる状態を近い将来にわたって予測し期待値を求めることで,適切な選択肢を選ぶという手法を開発した.この手法を用いて部品エージェントのシミュレーションを行った.故障確率の変化や,期待値の基礎となるパラメータの値の変化などにより状況が変化した場合に,本手法が効果を発揮することを確認した.(b)リユースにかかわるステークホルダーとして中古市場と利用者(ユーザ)をとりあげ,そのモデル化を試みた.中古市場については,部品エージェントが利用者の買換えに介入して中古品の利用を促進する手法を開発しシミュレータにより効果を確認した.利用者のモデルについては,動物の採餌行動を規範とする最適採餌理論を適用し,中古品の利用と売買を最適採餌メニューモデルで,複数の中古品店をまわる利用者の中古品購入行動を最適餌場モデルでモデル化し,シミュレーションを行った. (2)部品エージェント間の情報交換に基づくリユース経路生成手法の開発: リユース経路の生成手法として次の手法を開発した.まず,中古品の複数の売り手と買い手の部品エージェントが売買したい中古品を希望度順に並べたリストをマッチングサーバに提出する.マッチングサーバはその情報をもとに安定マッチングにより適切な売り手と買い手を組み合わせる.部品エージェントはその結果に基づいて中古品の売買を実行する.希望度は,希望する製品との価格の差,仕様の差,売り手と買い手の家の最短経路の距離,および中古品の残存寿命をもとに計算した. (3)生成されたリユース経路の評価: 売り手と買い手を6×6の格子状の経路の各節点に配置し,シミュレーションにより,経路の考慮とマッチングを行った場合の効果を確認した. (4)部品エージェントの実装:RFIDシステムの周波数帯移行作業を行い,動作確認を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ライフサイクルシミュレータについては,基本的機能の開発,関連機能の開発に時間がかかった. ベイズ推定を用いた評価手法の組込みは重要であると考えているが,しっかりした開発方針の確立に至っていない.経路を考慮したリユース手法の開発にもやや時間がかかっており,開発の見通しは立っているもののまだ初歩的な成果に留まっている.RFID機器の周波数移行作業に時間と労力をさかれたのも,開発の遅れの一因である.
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策)(1)ライフサイクルシミュレータの開発: 予測に基づく行動選択のしくみとベイズ推定による評価を組み合わせる.劣化,故障,選好,経路など評価に用いるモデルを開発し,シミュレータに組み込む.(2)部品エージェント間の情報交換に基づくリユース経路生成手法の開発:任意の部品エージェントがマッチングサーバとなる方法を開発し,複数のマッチングサーバによる協調したリユース経路生成を行う.また希望度の適切な算出方法についても検討を加える.(3)生成されたリユース経路の評価: 個々の部品エージェントにとって適切な経路の選択が,必ずしも全体で適切な結果をもたらすとは限らない.各種の評価指標について個々の評価と全体の評価を行う.(4)部品エージェントの実装による手法の確認: RFIDシステムを組込んだ部品エージェントシステムを実装し,開発した手法の実験を行う.(5) 研究成果の公開: 研究成果の報告と関連研究の調査のために,国内学会エコデザイン・プロダクツ&サービス シンポジウム(7月,東京),国際会議ではCIRP LCE2014(6月,トロンハイム),ICPE2014(7月,金沢),CARE INNOVATON2014(11月,ウィーン)に参加する. (次年度の研究費の使用計画)(1) 実装用模擬部品の製作: 実装による手法の確認のために,複数の模擬部品を製作し,RFIDタグを貼付けて実験を行う.(2) 研究成果の公開のための学会参加費と旅費: 上記の国内学会,国際会議での成果報告を予定している.(3) 高機能コンピュータの購入:より現実レベルに近いシミュレーションの実現のために用いる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレータの開発およびRFIDシステムの実装が遅れているため,シミュレーションと実験に必要な費用の支出に至っていない. シミュレーションのための高機能コンピュータの購入,およびRFIDシステムを用いた実験のための実験用部品の製作を予定している.また,成果発表のための国内・国際会議への旅費,参加費および学術誌への論文投稿料に使用する.
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