2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560171
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
古谷 克司 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00238685)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 搬送 / 薄板 / 進行波 / 空気圧 |
Research Abstract |
液晶ディスプレイなどのガラス基板や半導体ウエハのサイズは,年々大きくなっている.これまでに超音波を利用した浮上および搬送が実現されているが,1次元であった.圧縮空気による浮上と超音波搬送の併用では端部でしか駆動できないため,大型化する被搬送物へ対応することが困難である.また,エネルギー効率が悪かった.本研究では,多相の空気流路から空気を吐出・吸引することで空気圧の進行波を発生させ,大面積の板状物体を搬送する方法を開発することを目的とする.本方式は,空気圧を直接制御するため,エネルギー効率が高いという特徴を持つ. 直径約0.3mmの穴を20mm間隔であけた幅15mmの角パイプを並べた搬送台を製作した.これらを3相になるように配管した.従来方式の電空レギュレータを用いて空気流量を変化させた場合の被搬送物の運動を観察した.被搬送物はアルミ板およびステンレス板とした.圧縮空気からベンチュリ効果を利用して真空を発生させることで負圧の空気も同時に使用できるようにしたが,最初は正圧のみで浮上させた.浮上量を渦電流センサで測定したところ,ゲージ圧で5kPaの場合に250μm以上浮上することが明らかになった.ビデオカメラで撮影した映像をトラッキング解析することで変位を測定した.駆動力が弱いため,搬送台が水平からずれるとその影響を受けやすいことが明らかになった. 市販の電空レギュレータでは負圧の空気流量が制御できなかったため,ステッピングモータを用いたバルブを試作した.オープンループ制御によっても正弦波状の流量変化が得られた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
搬送台を試作したところ,角パイプを並べるだけでは平坦にならなかったため,上にもう一枚板をかぶせることにした.これにより,浮上量に対して無視できる平面度になった.被搬送物の平面度もその運動に影響を与えることが明らかになった.また,被搬送物と搬送台の間の空気流だけでなく,被搬送物の端の空気流が搬送特性に影響を与えることが明らかになった.搬送台の端では空気流が変化するため,中央部でのみ実験をする必要がある.そのため,現在の装置は6波長分の長さであるが,延長することが望ましいと考えられる. 本研究の前段階として実施していた超音波浮揚と粘性流進行波を利用した方法との比較を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
被搬送物周りの空気流をタフト法などで可視化し詳細に観察することにより,移動原理を確認する.被搬送物の端の効果が明らかになることで,その運動と同期した空気の供給サイクルが明らかになると期待できる.最初は低速で駆動するため,平成24年度に試作したステッピングモータによる空気流制御バルブを用いて,進行波を発生させる.空気流を変化させる周波数を変化させて,駆動特性を測定する. 進行方向は理想的には絞り列に垂直になる.しかし,搬送台の傾きや被搬送物のゆがみにより横方向にずれることがある.これを防ぐために,絞り列の配置を変更して中央に復元する力が働くようにする.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下に使用する予定である. 搬送台の端の影響を排除するために延長が必要である.また,横方向へのずれを防ぐ改良も行う.そのために角パイプなどの材料や締結用の機械部品が必要となる.これらの改造により搬送台が大型化するため,空気流制御用バルブを増設することで応答性を低下させないようにする.そのためにモータや駆動回路を購入する.さらに,これらの動作を測定するために,空気流量および圧力を測定するためのセンサを追加する. 成果発表および情報収集のための旅費も支出する.
|