2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560175
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
堀 純也 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80311017)
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Keywords | 巻糸体 / トラバース / ワインダ / 糸層変位 / 糸層内部ひずみ |
Research Abstract |
本研究の目的は,従来直接に観察できなかった巻糸体内部の糸層変位を,糸をほどいたり,巻糸体を切断したりすることなく非破壊状態で可視化し,内部ひずみの計測を行い,最終的には,張力や綾角などの巻糸体の形成条件と,糸層圧縮による巻糸体内部の欠陥発生の因果関係を明らかにし,産業上有益なデータを世に示すことである. 平成25年度は,平成24年度に調査設計を行った「プログラマブルワインダ」の実際の試作と評価を行った.プログラマブルワインダは巻糸体形成条件(張力,トラバース,糸速度,巻量,巻姿)を自在に制御しながら実際に巻糸体を形成することができる装置である.巻取用ボビンを回転させるモータ,巻出用のローラを回転させるモータ,ヤーンガイドを往復させるボールねじを駆動するトラバース用のモータを,同期させながら精密に制御する必要がある.そこで,近年低価格化高機能化が進むPLCをベースとしたマシンコントローラを用いて,サーボモータを3軸使用した高精度なサーボシステムを構築した.張力と巻量をリアルタイムで計測しながら,一定の条件下で巻糸体を形成を目指している. 本研究では,ポリエステル糸および伸縮性の高いポリウレタン繊維(スパンデックス)による巻糸体形成を目指しているが,糸を汚損しないで一定の張力を付加することが困難であるため,現在,張力測定と張力付加の手法を検討している最中である.また,トラバースにより大きく張力が変化することがわかったため,影響を少なくする手法を考察中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のうち, 1)プログラマブルワインダの試作については,若干の調整や改良は必要であるがおおむね実現できた. 2)CT画像による巻糸体の糸層変位測定については,一定条件下巻糸体が安定して形成できるようになり次第取り組む予定である. 3)巻糸体形成条件による内部欠陥(座屈)の発生メカニズムの解明,および4)内部欠陥のない巻糸体形成条件の探求と検証については,平成26年度以降重点的に取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度前半は,モデルワインダの改良を行い,再現性の高い巻糸体形成が可能になるように取り組む.その後X線CT画像による巻糸体の糸層変位測定方法を確立し,内部状態の定量的な把握に取り組む.研究の途中経過を,日本繊維機械学会北陸支部研究発表会などの機会に報告する予定である.また,巻糸体形成条件と巻糸体内部欠陥発生との因果関係を実験的な側面から明らかにする予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
X線CT装置を使った巻糸体の糸層変位の測定に際し,資料となる巻糸体の製作が不安定であるため,外部機関での設備を利用した観察を延期している.そのために,主に観察に伴う費用の支出予定分により,次年度使用額が生じている. 平成26年度は,X線CT装置を使った巻糸体の糸層変位の測定に際し,外部機関で設備の利用が進むため,当該費用を使用する予定である.
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