2012 Fiscal Year Research-status Report
多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における非定常時軸心挙動の実験的解明
Project/Area Number |
24560177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
大塚 茂 米子工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80300606)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械要素 / 多孔質軸受 |
Research Abstract |
「研究目的」DCスピンドルモータに使用される軸受は、メディア容量の増加やトラックピッチの微細化、モバイル化などへの対応のため高速・高精度、耐振・耐衝撃性、小型軽量を低コストとともに実現する必要がある。近年、特にモバイル化における省電力を目的とし頻繁に電源のON/OFFが実施されるため、モータ起動時といった非定常状態における軸心収束時間の短縮や軸振れ量の低減等を望目特性とした軸心挙動の解明が喫緊の課題となっている。 「H24年度研究実施計画の達成状況」1.電空レギュレータ式によるエア供給・制御装置の開発:回転軸の起動・停止を測定系にて再現するため、規定する回転数(dN)/起動時間(dT)に沿い直線的にエア圧力が加わりエアタービンを回転制御可能な装置を開発した。 2.ピボット支持方式及び一体型複合軸受方式における各種ラジアル動圧形状の非定常時軸心挙動の解明実験:ピボット支持方式及び一体型複合軸受方式における各種ラジアル動圧形状の軸振れ振幅時刻歴を起動:0~7000rpm、(dN)/(dT)=250(rpm/sec.:実機時間軸の約50倍程度)の非定常状態にて測定した。ラジアル動圧形状には、TLT、HB (丘溝比の違いによりI,IIの2種類)、および真円形状SLVの4形状、スラスト動圧形状には、PIN、WAVEの2形状、計8種類の複合軸受を製作し上記実験を実施した。X、Y、2方向の軸振れ振幅時刻歴よりリサージュ波形(軸心軌跡)を描き起動時の軸心挙動の解明を行った。実験結果より以下の点が明らかになった。 1)軸心の早期収束性,および軸振れ抑制に最も効果的な動圧形状の組合せはWAVE-HBI仕様である(ピボット支持ではHBI、HBII形状が最も効果的である)。 2)スラスト・ラジアル双方に動圧形状を形成することにより、復元モーメント相乗効果が発揮され、効果的な軸心の早期収束が促される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の研究実施計画は、上記のように順調に達成されており、既に以下のような研究業績が発表・公開されている。 1.「多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における潤滑特性の実験的検討(ラジアル動圧軸受における非定常状態での軸心軌跡挙動について)」、平野達也、大塚茂、他、(社)日本機械学会中国四国学生会第39回学生員卒業研究発表講演会講演前刷集、山口大学工学部、 p175 (2009-3) なお、本論文は工作機械技術振興財団第30次『工作機械技術振興賞奨励賞』を授与されています。 2.「多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における潤滑特性の実験的検討(複合軸受における非定常状態での軸心軌跡挙動について)」、神田真志、大塚茂、他、(社)日本機械学会中国四国学生会第40回学生員卒業研究発表講演会講演前刷集、広島工業大学、 p169 (2010-3) 3.「多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における非定常時潤滑特性の実験的研究(複合軸受における軸起動時の軸心軌跡挙動についての一考察)」、大塚茂、矢壁正樹、他、(社)日本機械学会論文集、C編(査読有り)、Vol.77、No.779 、pp.2832-2841 (2011-7) 4.「多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における非定常時潤滑特性の実験的研究」山田博之、大塚茂、他、(社)日本設計工学会平成23年度秋季大会研究発表講演会論文集、大阪電通大学、pp.83-86 (2011-10)等々。
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Strategy for Future Research Activity |
「H25年度研究実施計画」 ピボット支持方式、及び複合軸受方式における軸受内径クリアランスをパラメータとした非定常時軸心挙動の解明とクリアランスの最適化検討:H24年度の実験結果に基づき、H25年度は軸受内径クリアランスをパラメータとした同様な実験を行うことで、クリアランスの最適化を検討する。実施にあたっては、回転軸外径を2μmステップ程度で複数種類(3種類程度)製作し、内径クリアランス変化を実現する。なお、時刻歴の測定回転数としては、H24年度と同様に起動:0~7000rpm、(dN)/(dT)=250(rpm/sec.)の非定常状態とし、今年度より新たにF.F.T.による軸振れ振幅の周波数分析を実施することで、軸振れ特性に影響を及ぼす周波数因子の特定も試みて行く。 「H26年度以降の研究計画」 ピボット支持方式、及び複合軸受方式における回転数(dN)/起動時間(dT)をパラメータとした非定常時軸心挙動の解明、ならびに周波数分析による軸振れ影響因子の特定:さらにH26年度以降は、H25年度に最適化されたクリアランスにて、(dN)/(dT)設定値をパラメータとした同様な実験を実施してゆく。これまでの規定値(dN)/(dT)=250に対し、(dN)/(dT)を±50程度上下に振って測定を実施することで、軸心収束時間や軸振れ特性、あるいは軸心挙動に対する(dN)/(dT)変化の影響の度合いを検討して行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度へ繰り越し予定の3万円は,現在投稿中(H25/3にて査読結果が掲載可)の論文に対する掲載費用として使用する予定である。 なお、次年度の物品費87万円の使用内訳は以下に示してある。 ・スラスト動圧形状パンチ金型(2仕様×@400)複合軸受試料製作(試作品各5個×8種類 含む):800千円 ・軸直径違い回転軸試験片製作(3仕様×@25):75千円
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Research Products
(3 results)