2013 Fiscal Year Research-status Report
宇宙環境下の走化性バクテリアによる生物対流に及ぼす重力変調の影響に関する数値解析
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24560181
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
柳岡 英樹 岩手大学, 工学部, 教授 (40281951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末永 陽介 岩手大学, 工学部, 助教 (60413720)
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Keywords | 生物対流 / 微生物 / 酸素 / 走化性 / 微小重力 / 計算流体力学 |
Research Abstract |
本研究は,重力変調が存在する微小重力場において,走化性バクテリアにより生じる生物対流とその輸送特性を数値解析により明らかにすることによって,宇宙環境における生物対流の有効利用の可能性を探るものである.平成25年度では,地上の重力場と微小重力場における生物対流について詳細な三次元解析を行い,プルーム同士の干渉と輸送特性を調査した.また,プルーム同士の干渉には生物対流パターンが大きく影響するので,多様な生物対流パターンも発生させた.対象とする容器は浅く,表面張力による水面の変形はないものとする.水面から酸素が一様に供給され,懸濁液中には走化性バクテリアが存在している状況を考える.得られた知見は以下のとおりである. 1. 地上の重力場において,バクテリアの初期濃度に様々な乱れを加えると,波長が異なる多様な生物対流パターンが発生する.プルームの波長が短くなると,プルーム同士の干渉が強くなり,輸送特性が向上する. 2. 微小重力場において,生物対流が発生していない懸濁液に,重力変調が作用すると,生物対流が発生し,複数の三次元的なプルームが形成される.重力加速度の増加とともにプルームが出現し,重力加速度が減少するとプルームは消失する. 3. 重力変調の周波数が低くなるにつれて,生物対流は重力変調に追従しやすくなる.このとき,プルームの数は減少し,プルームの規模が大きくなるため,波長が長くなる.その結果,容器内全体の輸送特性が向上する. 4. プルーム間では,周囲のプルームとの干渉によって速い上昇流が発生し,輸送特性が向上する.このとき,より多くのプルームからの干渉が発生し,プルームの波長が短くなるほど,輸送特性が向上する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り,地上の重力場において,バクテリアの初期濃度に様々な乱れを加えると,波長が異なる多様な生物対流パターンが発生することを明らかにした.さらに,微小重力場において,生物対流が発生していない懸濁液に,重力変調が作用すると,生物対流が発生し,複数の三次元的なプルームが形成されることを明らかにした.しかしながら,計算時間の問題から,微小重力場において,バクテリアの初期濃度に様々な乱れを加えることができず,波長が異なる多様な生物対流パターンを発生させることができなかった.そのため,最も出現パターンが多い生物対流を見つけ出すことができなかった.ただし,重力変調の周波数や振幅を変化させたときのプルームの周波数応答性や輸送特性を明らかにできたことは計画通りであった.
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Strategy for Future Research Activity |
微小重力場において,バクテリアを動力源,化学分析,環境浄化など様々な用途に有効利用するために,バクテリア制御の工学的応用の可能性を調査する.申請者の過去の研究において,容器の下壁面を振動させることが簡単で有効な制御方法であることを見出している.この制御方法を微小重力場にも適用し,プルームの周波数応答性を調査する.解析手順は以下の通りである. 1. 容器の下壁面を加振させたときのプルーム同士の干渉による濃度場や生物対流の時間的変化を観察し,バクテリアと酸素の輸送に関する非定常特性を調査する.また,重力変調と加振による生物対流の共振現象が現れるかを探る. 2. 以上の結果を総合して,微小重力場における生物対流と輸送特性を制御することにより,宇宙環境における微生物の有効利用の可能性について,一つの指針を提供する.
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Research Products
(1 results)