2014 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙環境下の走化性バクテリアによる生物対流に及ぼす重力変調の影響に関する数値解析
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24560181
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
柳岡 英樹 岩手大学, 工学部, 教授 (40281951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末永 陽介 岩手大学, 工学部, 助教 (60413720)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物対流 / 微生物 / 酸素 / 走化性 / 微小重力 / 計算流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,重力変調が存在する微小重力場において,走化性バクテリアにより生じる生物対流とその輸送特性を数値解析により明らかにすることによって,宇宙環境における生物対流の有効利用の可能性を探るものである.平成26年度の当初の計画では,容器の下壁面を振動させることによるプルームの周波数応答性を調査する予定であった.しかしながら,微小重力場においては容器の加振により生物対流が発生しなかった.そこで,基本周波数の重力変調に高周波成分を重畳させることにより重力変調の条件を変えて,様々な生物対流を発生させ,生物対流の周波数応答性を調査した.得られた知見は以下のとおりである. 1. 安定な懸濁液に重力変調が作用すると,生物対流が発生し,複数の三次元的なプルームが形成される.水面上には複雑な生物対流パターンが現れる.パターンの波長は地上における値より大きくなる. 2. 重力変調に重畳させる高周波成分が低くなると,懸濁液の周波数応答性が良くなり,下降流と上昇流の平均速度が増加する.重力変調に高周波成分を重畳させると,沈降速度の増加が2 回発生する. 3. 重畳する高周波成分の周波数が低くなると,対流速度が増加するため,懸濁液全体におけるバクテリアと酸素の輸送特性が向上する. 次に,今後の研究の方向性を探るため,輸送特性の大きな変化を得ることを目的として,温度差を懸濁液に与えることにより,生物対流と熱対流の干渉を調査し,輸送特性の制御の可能性を探ることができた.研究期間全体を通して,重力変調を伴う微小重力場の流体中における走化性バクテリアによる生物対流や輸送特性を解明することができ,さらにはバクテリアと酸素の輸送を制御できる可能性を見出すことができた.
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Research Products
(2 results)