2013 Fiscal Year Research-status Report
超高頻度ショックレット人工呼吸法によるガス交換促進法の基礎研究
Project/Area Number |
24560184
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
平原 裕行 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20201733)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 匡徳 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20448046)
|
Keywords | 高頻度換気法 / 肺呼吸 / 有限振幅波 / ショックレット / 流体計測 / PIV |
Research Abstract |
初年度は、ショックレス共振管の開発を先行して行い、共振管形状の設計を主として行った。共振管形状は、一端を開放端、閉端の2種類に対して数値計算を先行して行い、その後、実験装置を製作して音波の共振状態と閉端での圧力と速度の共振振幅変動値を測定した。初年度は十分な圧力と速度の振幅値は得られていないものの、良好な共振現象が発生していることが確認された。数値解析による先行開発では、共振管から音波導入管に接続する領域において、非常に強い拡散渦の発生が観察されており、これの利用を目指して、今後の管形状の選定を行うこととしている。 2年目の開発は、人の肺モデルの作成を主として行った。肺モデルは、Wibelの理想分岐モデルを参照して設計しており、第1分岐から第23分岐までの代表スケールを1つの分岐樹上に作成して、これを一つの試験装置として表現した。これを使用することで、肺の上層部から深層部までの流れの変化の様子を全体的に観察することができるモデルとして設計を行い、製作し、現在、実証試験に向けて調整中である。調整の主たる重要な点は、各分岐の末端に使用する擬似肺分室のコンプライアンス調整に使用するバルーンの設置である。また、第19分岐近傍において、高い周波数での気流駆動を行った時の流れの応答について数値解析を行った。計算では、1回換気量と周波数、および駆動波形の三つをパラメータとして肺抹消分岐部での流動特性について調査を行った。調査の結果、申請者らがこれまでに目標としてきた、振動流による気体の掻き出し効果は、1回換気量が最も重要なパラメータであり、その次に駆動波形の急峻化が重要であり、最後に振動周波数であることを確認した。これらを基に今後の実験を遂行する計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ショックレットを生成する装置に関しては,ほぼ完了し,実験を行うことが達成できている.駆動装置の開発では、従来装置を利用した。良好な駆動が得られている。圧力計測,および出口速度計測の予備実験を終了し,データが取得された。実験では,過去の実験実績が十分に踏まえられた計画となっており,これまでの成果が生かされている.また,新しい共振波形発生のための基本構想を練り上げることができ,設計方針が次の段階に入ったことが確認できている.駆動端の条件に関しても、計画通りの実験遂行がなされた。数値計算による先行シミュレーションに関しても,多くの設計アイデアに基づいて,多くのトライアルを行っており,その中から,ショックレット発生のための,必要条件を抽出することができている.最も困難となるのは,共振波を肺内に導入するための接続部の挙動である.肺モデルを作成して実験を開始する段階にある。この成果の一部は,可視化情報学会の全国大会、日本機械学会での流体工学部門、流れの可視化国際会議で発表しており,様々な意見交換を行って,これからの研究に資する討論ができたと考えている.振動換気法における流体制御の根本的な制御手法の模索も順調に遂行しており、基本的なアイデアが構築されつつある。今後の展開に対して主要なパラメータの洗い出しと優位付けが終了した。今後は、これまでの成果を踏まえて、より革新的な装置の考案ができる段階に達したと判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に作成した肺モデルを用いて、肺の流れ全体の流動状態を的確に再現することを第一の目標として実験を行う。医療用HFOV装置を使用して実際に即した計測を行ってきたところである,この後は流れの特性をとらえる観点と計測の信頼性の観点から,Wormersley数(代表寸法と振動境界層厚さの比)を合わせた実験により相似実験も実寸の測定と合わせて行う.そのための今回作成した肺モデルを用いて、各分岐部の流動を計測する。従来のHFOV装置を用いた実験を行い,これまでの実験結果との照合を行う.計測は,粒子画像計測法(PIV法:既存の設備)を用いる.トレーサー粒子は,ラスキンノズルによって生成した直径1ミクロンのオイルミストを用いる.PIV計測は,HFOV駆動波形に同期させた位相ロックにより行う.これまでの計測では,1周期を16分割することによって周期変動をとらえていたが,これを64分割に精度をあげ,かつ各周期1000ペアの速度計測を行うようにデータ処理プロセスを高速化・自動化することによって,データ取得数を従来の20倍に増加させた計測を行う計画である.実験結果は気体のラグランジュ追跡を行い,かつその結果から新旧気体の置換率を評価する.また、数値計算での先行開発をさらに行って、1回換気量を最小限にしつつ患者に負担のない方式の模索を行い、気体の混合効率を向上させた駆動方式を決定し、それに合わせて、ショックレットドライバを開発していく計画である。
|