2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチモーメント制約を用いた高解像度数値解法の一般化と実用化
Project/Area Number |
24560187
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
肖 鋒 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50280912)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / 台湾:中国 |
Research Abstract |
本研究は,マルチモーメント制約を用いた高精度数値解法の一般的な定式化を確立し,実際応用に向けた流体数値解析モデルを構築することを目的としている。それに向けて平成24年度では,まず,計算メッシュセルに定義する代表点,いわゆるソリューションポイントにおける変数値を計算変数とするノダル(nodal)型マルチモーメント制約高精度数値解法の一般的な定式化を提案し,検討を行った。既存のMCV法はこの一般的な定式化において一つの特例として解釈することができる。この定式化を土台にすれば数値流束の再構築に用いられる制約条件セットを変えることによって様々なスキームを提案することができる。これらの制約条件に基づけば安定的な数値解法を構築することが可能だが,どのような制約条件を使うかによって数値解法の性質(精度,最大安定CFL数など)は大きく変わる。そこで,理論解析と数値実験を行い,次の結論を得た。①ラグランジュ型の制約条件を使えば計算精度の向上に繋がるが,安定なCFL数を大きく制限される。②エルミート型の制約条件を使うと計算精度が劣化する傾向を見られるが,安定CFL条件を大幅に緩和される。これによって実問題の数値モデルを構築する際に制約条件の選び方における指針を見出すことが可能になり,理論だけではなく実際応用にも大きな意義を持っている。基礎研究と並行してMCV法を球面座標に適用し,全球規模の地球流体力学の数値モデルの開発研究も進めている。これまでに三種類の均一格子解像度を持つ球面格子(陰陽格子,立方球面格子,正20面体球面格子)において浅水波モデルを完成し,良好な数値結果が得られている。これらの成果の一部は,すでに関連分野の英文学術誌に投稿し,受理されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目標は,マルチモーメント制約を用いたフラックス関数の再構築及び高精度数値解法の一般的な定式化を提案することである。これについて当初の研究計画を達成した。また,本手法の実用化に向けて球面浅水波モデルに適用し,検証を行った。これによって研究計画の一部を前倒しで実施したことになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後,理論解析と数値実験による検証を行い,またそれらの結果を踏まえ,マルチモーメント制約条件による新しい高精度スキーム設計の原則と指針を見出す。それに基づき,実用化に向けて具体的な計算スキームを提示し,最適化を行う。また,外国研究者との共同研究によって新しいリミターの開発にすでに着手している。最終的に,オイラー方程式をベースとして圧縮性流体の高解像度数値解析モデルの構築及び計算コードの整備を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度当初購入予定の計算サーバーは,購入直前にスペックや金額などの変化が生じた。また,前年度の研究内容は計算手法の基礎段階であったため,代用機の性能が充分に満たしており,研究計画の遂行に支障がないと判断し,研究予算をより効率的に使用するため,他の代用機に変更した。 平成25年度予算(2,234,076円:うちH25申請額1,500,000円,H24未使用額734,076円)の使用について,次のように計画している。 設備備品:計算サーバー一台(約800,000円),データ処理用ワークステーション一台(約300,000円)。出張旅費:海外出張2回(約500,000円),国内出張2~3回(約150,000円),共同研究のため外国人研究者招へ1回(約150,000円)。人件費:約200,000円。 消耗品・その他:約100,000円。
|