2013 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカルモード間の干渉による超音速ジェット騒音抑制手法に関する数値解析
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24560189
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 大輔 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 講師 (70363033)
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Keywords | マッハ波 / 超音速ジェット / DNS / 乱流 / 騒音 |
Research Abstract |
ヘリカルモード間干渉によるマッハ波抑制効果のマッハ数およびレイノルズ数依存性を明らかにし、能動的抑制技術を確立することを目的に研究を進めた。本年度は流入部においてランダム撹乱を与えたジェットから放射されるマッハ波の放射方向をコントロールするため、複数の周波数のヘリカルモードを加えた際のマッハ波抑制効果を検証した。DNSの計算は低レイノルズ数領域(Re<10000)において直接数値シミュレーションを実行し、加えるべきヘリカルモードの振動数および振幅について調査を行った。 ノズルから噴き出す乱流ジェットを模擬しランダム撹乱のみをジェット流入部に加え、ジェットから放出される支配的なマッハ波の振動数を調査した結果、上流においては約St=1.1(ジェット半径に基づく)付近の振動数を持つ第一ヘリカルモードが卓越し、下流では約St=0.9の振動数を持つヘリカルモードが音響場において支配的であることを確認した。このため、乱流ジェットにおける互いを干渉させる一対のヘリカルモードペアの成長によるマッハ波放射方向の制御を目的に、ランダム撹乱にSt=1.1およびSt=0.9の音響場で支配的なヘリカルモードと回転方向が逆となるモードを加えた結果、加えるヘリカルモードの位相と振幅を適切に選択することによりマッハ波放射方向を制御できることが分かった。 また、線形安定性解析とDNSの実行により、第3ヘリカルモードペアの成長は、位相速度が亜音速となる振動数において強いマッハ波を放射せず、さらにジェット中心速度の急速な低下を引き起こすことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、複数の周波数の第一ヘリカルモードペアの干渉によるマッハ波抑制効果を検証するため、低レイノルズ数領域(Re<10000)において、制御において必要となる情報(ヘカルモードの振動数および振幅)について調査を行う目的に対し、騒音源となるマッハ波振動数の確認した。また、乱流ジェットに加えた複数の第一ヘリカルモードが生み出す圧力変動(マッハ波)の放射方向は、位相と振幅を適切に選択することにより制御できることを確認した。また、第三ヘリカルモードについて安定性解析とDNSの実行によりマッハ抑制に関する新たな知見が得られた。このことにより、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリカルモード間干渉によるマッハ波抑制効果のマッハ数およびレイノルズ数依存性を明らかにし、能動的抑制技術を確立することを目的に広範囲の速度領域(圧縮性)に対応する抑制効果を確認するために、マッハ数の影響について調査する。ジェット速度が増大す ると、放射されるマッハ波の大きさも増大することにより、ヘリカルモードの干渉のみでは十分な抑制効果が得られない可能性がある。そのため、第三ヘリカルモードによる騒音抑制を検討する。さらに、実機と同様の高レイノルズ数領域で想定される広帯域に渡るマッハ波の周波数に対し、複数の周波数のヘリカルモードペアを流入撹乱として用い、その抑制効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初見込んだGPGPU計算ボード搭載のワークステーションからGPGPUボードの購入を性能比較の結果見送り、ワークステーション単体の性能が高いものに購入ワークステーションを変更したため。 新規のGPGPU計算ボードの性能が良好ならGPUGPU計算ボードの購入を行う。良好でない場合は、スーパーコンピュータの利用ノード数を増やし、当初見込んでいる計算が行えるようにする。
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