2012 Fiscal Year Research-status Report
「数値航空機」の展開と応用-次世代流体・運動力学統合シミュレーションの研究
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24560192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松野 謙一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (70252541)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 流体工学 / シミュレーション工学 / 航空宇宙工学 / 飛行力学 / 運動力学 |
Research Abstract |
本研究課題は、現行プロトタイプの「数値航空機」に対する基盤理論・技術をさらに発展、応用・展開するもので最終目標の「数値実機試験」システム構築のための研究であり、研究方法の改良発展を行いつつ、実証研究を行う。主な項目は、次の6項目でとなる。1.計算コードの並列化、高効率アルゴリズムへの改良(RANS、DES、LESモデルの改良含む)。2.流体力学・飛行力学の強連成シミュレーション手法への変更と検証。3.ジェット推進、プロペラ推進機構の導入(物理モデルの提案と検証を含む)。4.「数値ヘリコプタ」のプロトタイプの作成と実証。5.「数値サッカーボール」「数値ブーメラン」のプロトタイプモデルの作成と実証、および運動解析。6.前処理、後処理の汎用化・自動化、途中処理の導入。 平成24年度は、項目1に関しては、非圧縮性流コードにLESモデルを組み込み検証計算に着手した。また、OpenMPディレクティブを順次、コードに組み込み、並列化作業を行った。項目2は、「数値紙ヒコーキ」を対象とし、流体力学・飛行力学の強連成シミュレーションを行った。結果として、弱連成との差異は顕著では無いことが判明した。検証を続行する。項目3のジェット推進については、双発ジェット旅客機を対象に、境界条件として推進効果を導入した。プロペラ推進モデルについては、小型軽量飛行機をモデルにプロトタイプを構築し、検証を行った。現在、計算の安定性に問題が見られ、改良を試みている。項目4の「数値ヘリコプタ」については、4枚ヘリブレードを持つヘリコプタを対象に試験的シミュレーションに着手した。項目5「数値サッカーボール」については、プロトタイプの作成を完了し、ボール回転の無い場合等を想定した初期シミュレーションを行った。項目6は、特に「後処理」について、計算結果の可視化に対し、フリーソフトウエアを導入し、コスト低減を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成20年度~22年度実施の科研費基盤研究課題の発展・展開・実証研究であるので、既に、多くのプロトタイプを構築済みである。このような研究基盤に立ち、本研究目的に対応した6項目の目標に対し、それぞれについて初年度は、大きな問題に遭遇することなく、計画を達成した。「プロペラ推進モデル」の構築に対し、数値不安定が現在発生しているが、想定範囲内であり、モデルの改良により解決できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、目標の1~6を当初の研究計画通りに平行して推進する。現時点では、大きな問題点は発生していない。 なお、プロペラ推進航空機については、プロペラ推進モデルの検証と同時に、特に旋回飛行時のプロペラ後流と胴体・主翼・尾翼との干渉について、モデルの妥当性を含め検証を行う。さらに、実際にプロペラを高速回転させた時の流れ場についてもシミュレーションを行いプロペラ推進モデルの妥当性と実用性を検証する予定である。なお、この実際にプロペラを回転させて推進力を発生させるシミュレーション(この方がより実機に近いシミュレーションが可能)を用いる場合、ターゲットとする「数値飛行試験」の実現が過大な計算コストが掛かることが予想され、現時点では実用的ではないと考えているが、この点についても検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究経費についてであるが、平成24年度に研究遂行のため計算サーバーを予算290万円で導入することを計画していた。6社に見積もりを依頼したところ、殆どのベンダーが260~280万円前後を提示してきたのに対し、一社が220万円で見積もったので購入することとした。差額70万円を含め、最終的には89万円を基金とし、て25年度交付予定の60万円を加えた149万円を平成25年度研究経費とし、更に研究を促進させるため、ワークステーションを導入することを計画している。
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Research Products
(6 results)