2014 Fiscal Year Research-status Report
曲がり管内混相流のカオス化による混合促進と渦構造の解明
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24560196
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳瀬 眞一郎 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20135958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 矩形曲り管内流 / 混合 / ラグランジアンカオス / 水素マイクロバブル / 洗浄 / 疎水性汚れ |
Outline of Annual Research Achievements |
2壁を回転させる,矩形曲り管内の縦横比を様々に変えて,管内の流れの変化を調べた.特に,混合の効率を調査した結果,縦長さが横長さより大きい場合に,活発な混合が発生することがわかった.逆に,縦長さが横長さよりも小さい場合,混合は不活発となることが示された.研究は,ローダミンBを色素として注入し,LIFによって観測する方法を用いる実験と,OpenFOAMによる計算を並行して進め,両者は大変良い一致を示した.混合効率を定量的に調べるため,混合率を数値計算結果から求めた.混合率が1に近づくとき,最も高い効率が達成されるが,管の圧力勾配と,回転速度が適当な値を取った場合に,0.8を超える高い効率となることが示された.前年度から引き続いて行っているラグランジアンカオスとしての解析も進められ,縦横比を変更した場合も,縦横比が1の場合と同様のラグランジアンカオスが発生している様子が認められた.また,レイノルズ数の点においても,同様に非常に低いレイノルズ数でラグランジアンカオスが発生していることが明らかとなった. 一方,電気分解法によりマイクロバブルを発生させ,陰極から発生する水素マイクロバブルを用いて,その性質を調べる実験も行った.今年度注目した点は,マイクロバブルの表面電位とその疎水性汚れに対する洗浄効果であった.表面電位に関しては-30~-40mV程度であった.実験の結果,疎水性インクの洗浄量は,発生したマイクロバブルの数と正の相関があることが示された.観察の結果,マイクロバブルが疎水性インクの表面に吸着し,溶存気体が吸着したマイクロバブルに移動することや,他のマイクロバブルとの吸着によってその半径が増大することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
矩形曲り管内流中の混合の様子が,実験的,計算結果,理論的にほぼ解明された.この意味では非常に大きな成果であると考える.特に計算面で,OpenFOAMの利用が極めて容易となり,精度の点でも検討を行い,その結果,高い精度が得られたことが検証できた点は満足すべき内容である.さらに,マイクロバブルの物理的・化学的性質もかなり明らかにすることができたのも,研究の進展と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進展としては2方向を考えている.一つは,実用的なマイクロミキサの開発である.前年度までの研究結果を踏まえ,装置のさらなる小型化を計画し,実用化につなげる予定である.また,マイクロバブルの物理的・化学的性質の解明を基にして,混相流として,マイクロミキサに利用することを目論んでいる.
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Causes of Carryover |
申請者に,2年前に発生した病気の回復が未だ十全でないため,海外出張が不可能となり,海外出張費が使用されなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,マイクロミキサとしての実用機の開発を計画しており,そのために研究費を使用する予定であり,また,海外での国際会議での成果発表を計画していて,研究補助金の適切な使用を予定している.
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Research Products
(5 results)