2013 Fiscal Year Research-status Report
潮汐と潮流に進出する相反転方式発電ユニット:明日への布石
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24560201
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金元 敏明 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (90092642)
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Keywords | 海洋資源 / 再生可能エネルギー / 新エネルギー / 潮汐発電 / 潮流発電 |
Research Abstract |
タンデムプロペラが内外二重の回転電機子をそれぞれ駆動する新たな形式の潮流発電ユニットについて河川で性能実験をした.前段プロペラのブレードについては半径の小さいハブ側で無負荷となり,半径の大きいティップ側で仕事をするようにした.また,後段プロペラのブレードについては前段プロペラからの流れを流入条件として,半径位置によらず仕事をする好適な迎え角となるようにひねりを与えた.これらのプロペラは内外軸間に働く摩擦トルクの大きさが調節できるように工夫された接触面を有する模擬発電機を駆動する.本年度に得られた主な成果は次の通りである. (1)前後段プロペラの出力は当然ブレード取付角に依存し,最適角度を求めた.(2)潮流発電用ブレードとしては翼弦長を長くして低回転速度,高トルクとなるよう,さらに水中におけるキャビテーション特性も考慮して設計する必要がある.(3)流れ方向にかかる抗力は羽根枚数と回転速度に依存し,大幅な出力低下なしで単段の場合の抗力より小さくなる羽根取付け角が存在する.(4)流れに垂直方向の力はカルマン渦のほかに,動バランスの影響を強く受ける.(5)タンデムプロペラの干渉による固有振動数が存在し,その値はHansonの式で予測できる.(6)回転トルクが相殺されるので外部に反作用が働かず,子午面上のメ―メント中心で係留することにより浮遊式発電を可能にする.(7)これまでの成果を踏まえ,キャビテ―ションの抑制も斟酌した新たなプロペラをCFD援用で設計し,平成26年度の研究に備えた.(8)本発電ユニットの適用は潮の干満差に基づく潮流にとどまらず,新たに離岸流も視野に入れて研究を更に発展させることにした.(9)また,潮汐発電についてはポンプ水車の機能を付加させ,自然エネルギー資源からの出力変動を平滑化する新たな概念を導入した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
潮流発電については,好適なブレード形状が明らかになりつつあり,本発電ユニットの最大の特徴であるワイヤ一本による係留が可能であることを実証した.発電ユニットをパイルに搭載する方式については抗力を求めて実用化に近づけた.また,一般的な潮流に加えて離岸流への適用を新たに展開したことも特筆すべき点である. 潮汐発電についても発電ユニットの高効率化は無論,外洋と入江を上下貯水池に代替して,発電ユニットに揚水発電の機能を付加した電力安定化システムを初めて提案した.これにより,出力変動が激しく導入が嫌われてきた自然エネルギー資源を大幅に生かすことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
新たに設計製作した潮流発電用プロペラについて,まず風洞実験により所望する性能が得られることを確認する.最終的には回流水槽で実験を行い,性能に及ぼすレイノルズ数の影響を明らかにして,モデル実験から実用機の性能を予測する方法を求める.同時に,キャビテーションの抑制効果,流れの剥離や翼端渦による水中騒音の抑制効果を確認する.このとき,好適な係留法,海藻(ゴミ)回避(除去)対策,腐食対策,耐久性向上,メンテナンス性向上,生物付着対策についても言及したい. 潮汐発電については電力安定化システムと風車の連動運転を試みるとともに,運転モードの瞬時切替え時における非定常特性を把握して,実用化への指針を得る.このとき,ポンプ水車の出入口形状の好適化,発電機設計指針の提案も行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたプロペラのキャブテ―ション対策と水中騒音対策が遅れ,係留方式についてワイヤ/チェーンとプロペラの絡まりを回避する方策が特定できなかったため,その経費に残りが生じた.また,新たに離岸流と電力安定化技術に取り組んだため,来年度に向けてその経費を捻出する必要がある. 上記積み残しおよび新たな課題を克服するため,概算で,キャビテ―ションと騒音低減を目指したモデルブレードの製作費:60万円,数値シミュレーションソフトレンタル料:30万円,借用回流水槽による実験遂行費(旅費,モデル部品等):30万円,最終成果発表旅費:10万円の使用を予定している.
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