2013 Fiscal Year Research-status Report
公転を利用した自転円板上の境界層遷移の制御に関する研究
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24560202
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宗像 瑞恵 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30264279)
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Keywords | 境界層制御 / 回転円板 / 境界層構造 / 公転効果 / 境界層可視化 |
Research Abstract |
本研究では,次世代型大口径ウェハ(直径450mm)の回転塗布装置の新たな要素技術として,自公転式の塗布方法が遷移渦抑制に有効であるかを調査することも背景に,まず,直径200mm(=2R)の円板を用いて公転半径の異なる自公転円板上の境界層流れについて調査を行った. 熱線流速計(以下HWA)による速度場計測では,自・公転円板上の気流に与える公転速度や公転半径の影響を調査し,自転のみの場合に対して,公転半径,および公転速度が大きいほど,周方向平均速度等に及ぼす影響が大きくなることを明らかにした. また,油膜法による可視化結果においては,公転半径が大きいほど公転速度がより小さい速度で遷移渦による油膜への筋の転写が消失した. スモークワイヤ法による気流の境界層の煙可視化において,回転運動のある条件下では,公転により,遷移渦の間隔が公転半径位置によって異なるため,円板の回転とともに遷移渦の間隔が伸縮していることを明らかにした.さらに,HWAによる気流の速度変動の周波数解析と可視化実験により,進行波かく乱が発生する条件やその進行波の挙動の詳細(進行速度や進行波の間隔,進行波の断面構造など)を明らかにした. したがって,自転のみの場合に発生する遷移渦による筋の転写が公転を加えることより消失する要因として,公転によって遷移渦の間隔が伸縮すること,および低周波かく乱によって,遷移渦が崩壊することなど考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験については予定通りに大学院生・学部生の協力を得ることができ,公転半径の変更や円板直径の変更に伴う装置改良においては設計・製作において時間を要するが,部局の技術部の協力を得るなどして,組み立てから試運転に至るまで概ね順調に進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
円板直径,公転半径,自公転速度の組合せにおける円板上の境界層構造を明らかにするための実験をさらに行い,これまでの結果を系統づけて,境界層遷移にかかる相似則の指針を検討する. また,数値解析等の試みも並行して進め,公転付加によって生じた境界層の自空間的な構造変化をより明らかにしていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた学会発表の旅費を別の予算で支払うこととなったため。 消耗品である熱線流速計のプローブを購入する予定である。
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