2014 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤溶液における薄膜の安定化機構に関する研究
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24560204
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
脇本 辰郎 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10254385)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 界面活性剤 / 液膜 / 安定性 / 表面張力 / サーモキャピラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,干渉法による液膜厚さの測定法を確立させ,温度マランゴニ力の付加による液膜厚さの空間分布の時間変化を明らかにした.ラウリル硫酸ナトリウムの1~25ppm溶液を用いて液膜厚さの空間分布を計測した結果,温度マランゴニ力の付加により加熱部分の液膜厚さが徐々に減少したのち,液膜に穿孔が生じた.但し,その厚さの減少量は小さく,穿孔の少なくとも10μs前まで初期の厚さの60~80%が維持された.すなわち,液膜が,あたかも脆性材料かのように瞬間的に穿孔して破壊されることがわかった.特に,高濃度の溶液で厚さの減少量が小さく,25ppm溶液では穿孔直前においても初期の厚さの80%が維持されていた. また,数値シミュレーションにより安定化機構のさらなる検討を行った.これまで,液膜の安定化機構として,濃度差マランゴニ力と表面粘性とを検討していたが,溶液濃度を変えた計算を行って,両者がそれぞれ,低濃度および高濃度の溶液で特に安定化に寄与することを明らかにした.このような濃度による安定化機構の差異は,溶液内部から液膜表面に供給される活性剤分子の量に依存して生じる.高濃度溶液では溶液内部から液膜表面に直ちに活性剤分子が供給され,濃度差マランゴニ力が生じにくい一方で,液膜表面の活性剤分子の数密度が高く,表面粘性が大きくなる. さらに陰イオン性活性剤溶液薄膜の内部のイオンの流動を考慮した計算を行い,イオン性の界面活性剤溶液では液膜内部に働く静電気力も安定化効果となり得ることを示した.
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Research Products
(3 results)