2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560207
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 光太郎 工学院大学, グローバルエンジニアリング学部, 教授 (80252625)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 和彦 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70260635)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | シンセティックジェット / 推力 |
Research Abstract |
本研究はシンセティックジェットの基本流動特性の解明を通して,シンセティックジェットの推進器への応用について検討するものである.本研究ではまず連続噴流の代替となり得るシンセティックジェットの基本流動特性について実験並びに数値シミュレーションから検討し,自由噴流状態でのシンセティックジェットの噴流形成メカニズム,剛体壁近傍におけるシンセティックジェットの挙動,噴流構造などを検討した.得られた結果を主に出口流体塊のストロークを噴流幅で割った無次元ストロークで整理し,シンセティックジェット独特の平均速度形成過程,噴流構造,速度変動特性に及ぼす無次元ストロークの影響を明らかにした.特に自由噴流状態の連続噴流では噴流中心時間平均速度は下流に行くにしたがって単調に減少することが知られているが,シンセティックジェットでは時間平均速度の増減が見られ,無次元ストロークによっては最大流速を示す位置とは異なる位置で極大値をとる場合があることが分かった.また,推進器として使用する場合に必ず課題になるにも関わらず,これまであまり言及されてこなかったシンセティックジェットのコアンダ効果についても議論が展開され,渦対の対称性が崩れ,噴流が蛇行すること,フローパターンはスロット-壁面間距離とストロークとの相対距離で決定されることなどが示唆された.さらに,進器モデルを提案し,このモデルの推力特性について数値計算・実験により調べ始めた.主な結果として,噴出・吸入口同一型並びに噴出・吸入口分離型推進器モデルで推力が生成されること,コアンダ効果を用いて流れの方向を制御した噴出・吸入口分離型は噴出・吸入口同一型と比較して大きな推力が得られること,推力に関する性能曲線が示され推力特性は無次元ストロークに依存することなどを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成24年度はマイクロ飛翔体推進の基礎的研究として推力発生条件をU0に基づくレイノルズ数Reと無次元ストロークに対応するパラメータKで整理し,発生した噴流と推力について非定常特性を含め流動・推力特性を調べる予定であった.本年度はシンセティックジェットのコアンダ効果など基本特性を調べるとともに数値計算では非定常推力,実験では時間平均推力を求めることに成功した.実験においても非定常推力を求める予定であったが,シンセティックジェット・アクチュエータに起因する振動抑制が困難であったことからロードセルでの流体力計測には至らなかった.ところで,本年度は無次元パラメータKではなく物理的に解釈しやすい無次元ストロークL0を用いて得られた結果を整理した.表記には違いがあるものの実質的には変更はない. 実験における変更点としては計画時点では,自走式カプセル内視鏡モデルにダイアフラムを用いたシンセティックジェット・アクチュエータを使用する予定であったが,本実験条件に適合するサイズが手に入らなったため,今年度はスピーカー型アクチュエータを使用した.アクチュエータに相違はあるものの本年度予定した実験については概ね終えることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は前年度の実験を補足するとともに,カプセル型試験片を風洞内に設置した場合の推力特性について重点的に調べる.自由噴流状態のシンセティックジェットでは渦対/渦輪が周期的に生成されるためエントレインメントにより実質流量が生成されるが,主流中ではカプセル出口の速度勾配が変化して渦対/渦輪の渦強度や渦配列が変わることが考えられ,推力・非定常流体力との関係解明を試みる.現時点での課題は流れ場に関して数値計算結果と実験結果との比較を定量的に行うことにある.これまでは作動流体に空気を用いていたが,流れの可視化を行うために水を作動流体とした実験装置の製作を行う予定である.渦中心位置の時間変化などについて実験と数値計算を比較し,数値計算の妥当性を確認した上で,実験が難しいと予想される推力の非定常特性に及ぼす幾何形状やRe数の影響について系統的に調査する.特に低Re数では推力計測そのものが困難になることから数値計算を主体にしなければならない.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主として数値計算コードの使用料に充てる予定である.また,物品費(消耗品)として幾何形状の異なる自走式カプセル内視鏡モデルの試験片製作などに研究費を使用する.次年度の旅費としては(1)研究打ち合わせ旅費,(2)研究発表旅費を使用予定である.
|
Research Products
(8 results)