2012 Fiscal Year Research-status Report
反応性液相多成分物質の乱流拡散・混合現象の解明と確率過程モデルに関する研究
Project/Area Number |
24560212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
久保 貴 名城大学, 理工学部, 准教授 (20372534)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乱流 / 拡散 / 混合 / 化学反応 / 確率過程モデル |
Research Abstract |
本研究では,高シュミット数が特徴である液相における反応性乱流拡散場の統計的特性を明らかにすることを目的として,吸光スペクトル法による多成分濃度同時測定を行う。そのために,高空間・高時間分解能の多成分濃度測定システムの開発を行い,反応性乱流の微細構造を明らかにする。 平成24年度はまず,高時間・高空間分解能の2成分濃度同時測定システムの開発を行った。分解能を向上させるために,今回新たに光ファイバープローブを製作した。従来の直径0.5 mmの光ファイバーをまず50 μmにすることにより,検査体積を約1/100に小さくすることが可能となった。しかし,検査体積を小型化すると光量も減少するため,従来,光源として用いられていたハロゲンランプでは,高精度な濃度測定は不可能である。 そこで本研究では,光源としてレーザーダイオードモジュール(LDモジュール)を使用した。本年度はまず,緑色と赤色の2つのLDにより2成分の濃度測定システムを開発した。開発した2成分濃度同時測定システムを用いて,まずは静止流体中で濃度測定の原理試験およびノイズの影響を調べ,濃度測定システムの有効性を確認した結果,誤差1%以内で2成分同時濃度が可能であることが確かめられた。 さらに確率過程モデルとして,確率密度関数(PDF)法による反応性拡散場のモデリングを行った。まず,平均せん断のない格子乱流中におけるマルチプルーム拡散場を対象とした数値計算を行った。この拡散場は断面方向に近似的に一様と見なすことが可能であり,モデル化が必要となる分子拡散モデルの評価に最適である。本研究ではまず,IEMモデルを液相反応性乱流に適用し,実験と比較することにより,その有効性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄にも示したように,平成24年度は高時間・高空間分解能の2成分濃度同時測定システムの開発を行った。分解能を向上させるために,今回新たに光ファイバープローブを製作した。従来の直径0.5 mmの光ファイバーをまず50 μmにすることにより,検査体積を約1/100に小さくすることが可能となった。また,光源としてレーザーダイオードモジュール(LDモジュール)を使用した。本年度はまず,緑色と赤色の2つのLDにより2成分の濃度測定システムを開発した。開発した2成分濃度同時測定システムを用いて,まずは静止流体中で濃度測定の原理試験およびノイズの影響を調べ,濃度測定システムの有効性を確認した結果,誤差1%以内で2成分同時濃度が可能であることが確かめられた。 さらに確率過程モデルとして,PDF法による反応性拡散場のモデリングを行った。まず,平均せん断のない格子乱流中におけるマルチプルーム拡散場を対象とした数値計算を行った。本年度はまず,IEMモデルを液相反応性乱流に適用し,実験と比較することにより,その有効性を検証した。 以上のように,数値的研究は当初の計画よりもわずかに遅れているものの,実験的研究はほぼ計画通りに進んでいることから,「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降,高時間・高空間分解能の多成分濃度同時測定システムの開発については,さらに1波長分,新たに青色のLDモジュールと分光系を購入することにより,3成分の濃度を同時測定可能なシステムにバージョンアップを行う予定である。 さらに,確率過程モデルについては,今年度検証した分子拡散モデルを,代表的なせん断乱流である軸対称乱流噴流に適用する。計算結果を本研究の実験結果と比較することによりその検証を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B―A)=51,671円が生じたが,これは本年度必要な物品費等を慎重に検討しながら使用した結果生じたもので,10万円以下であることから,来年度以降実験を行っていく上で必要となる物品費の使用に当てる予定である。
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Research Products
(3 results)